金属行人(3月23日付)

 最近、近視の治療法である「オルソケラトロジー」が子供に適用可能になったという報道に接した。特殊なコンタクトレンズを着用して眠ることで近視を治す治療法だ。レーシックのような手術も要らないため、まだ近視の進み度合いが浅い子供には効果的だという▼こうした先進医療がある一方で、春の足音が近づくと悩まされる花粉症や鼻のアレルギーに対して、鼻の通りをよくする簡単な運動がやはりテレビで紹介されていた。実際にやってみると確かに鼻の奥が通ることを実感できた▼先端技術が日進月歩で開発されていく半面、昔ながらの技術や製品、手法が見直されるケースも多い。一度はお蔵入りとなった技術や製品が気が付くと時代のニーズに合致しているということもよくある▼新しい製品や技術は導入するのにちゅうちょしやすく広まるのに時間がかかる。鉄鋼建材の世界でも新技術の開発はもちろんだが、既存の製品・技術を効果的に活用できる工法の開発や提案が重要だという▼スマートフォンも既存のさまざまな技術の組み合わせで出来上がったとされている。技術開発にはコストもかかるが既存技術の組み合わせなら少しはコストを抑制できる。自社にパズルのピースとなり得る技術や製品が眠ってはいないだろうか。

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