三崎漁港 国内初、冷凍まぐろ市場竣工 4月中旬から取引開始 三浦市

今月18日に行われた竣工式でのテープカット

 全国で初となる冷凍まぐろ専用の「三浦市低温卸売市場」が、このほど三崎漁港に完成した。同漁港の高度衛生管理化に伴う整備の一環。取引開始は4月中旬を予定しており、市は三崎産水産物の国内外での消費拡大をめざして、新たな集出荷体制の確立や戦略的なPR、国際的な食品安全管理基準「HACCP(ハサップ)」の取得などを行っていきたいとしている。

 調査設計費を含む総工費は約19億6千万円。2016年12月、建設工事は現市場に隣接する漁港関係者の駐車場で始まった。鉄骨造2階建て、延床面積は3184平方メートルの広さを持つ。

優れた機能面

 三崎漁港における冷凍まぐろの取引は、1日600本超。機能面では徹底した品質衛生管理と作業効率向上を両立した。スムーズな移動とまぐろに傷がつかないよう床面を平滑に塗装。陳列場の照明は、目利きへの影響を配慮して現市場と同等の見え方が確保されているという。

 また、従来苦慮していた夏場の温度管理も完全閉鎖型にすることで解決。搬出口を気密性の高いシャッターを二重化し、空調による温度管理で陳列室内を15度(前後2度)で保つ。

 今月18日、完成を記念して行われた竣工式には、齋藤健農林水産大臣や小泉進次郎代議士をはじめ、100人を超える関係者が出席。三崎まぐろのブランド強化と発展を祈念した。冒頭で吉田英男三浦市長は「万感の思い。これからも国の政策とマッチさせた動きで、日本一のまぐろ市場をめざしたい」とあいさつ。新たな一歩に決意を新たにした。

水産業振興の中核担う

 三崎漁港は全国2860ある漁港のうち、水産業振興で特に重要な港として政令で定められた13の特定第3種漁港の1つ。近年では、水産資源状況の悪化や就業者の減少などが起因して取扱量は減少傾向にある。1968年の9万4千トンをピークに、2011年以降は2万トン台で推移する。

 こうした現状を受け、行政や業界関係者、学識経験者らでつくる検討会が「水産業・漁港を核とした振興ビジョン」を16年に策定。産業活性化に向けた31の項目を掲げ、”オール三浦”で取り組む。

 なかでも力を入れるのが、三崎産水産物の海外輸出。日本食ブームを追い風に、高度衛生管理化による品質の良さ、羽田空港との近さを強みに海外マーケットの開拓をねらう。齋藤農水大臣も今月16日の会見で「輸出促進に向けて水産業を牽引する中核施設」と期待。市はアジア地域での市場開拓をしたのち、将来的には欧米での拡大をめざし、HACCPの取得を進めたいとしている。

1階の陳列室

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