ZOOM UP 「1回の人生 好きなことをやりたい」 昨年12月に作家デビューした クオンタムさん 厚木市

愛用のパソコンに向かうクオンタムさん

 ▽(株)KADOKAWAが主催する、昨年の第2回カクヨムWeb小説コンテスト異世界ファンタジー部門で、2690作品の中から大賞に輝いた。受賞作『勇者、辞めます〜次の職場は魔王城〜』は12月に書籍化。またたく間に重版が決まった。今、勢いに乗っているのが、同作で作家としてデビューした厚木市出身のクオンタムさん(32)だ。

 ▽友人が第1回の同コンテストで大賞を受賞していたこともあり、1カ月で作品を書き上げて応募した。2回の転職経験をまとめ「職場あるあるをファンタジー小説にした」という今作。自信作だったが、実際に応募してみると「周りに面白い作品が多くて大賞を取るほどの自信はなかった」と振り返る。しかし、結果は彼に微笑んだ。「大賞と聞いた時は『良かった。この作品は面白いんだ』と思えた。認めてもらえたことで自信になった」と笑顔を見せる。

 ▽小学生の頃から文章を書くこと、本を読むことが好きだった。いつからか「作家になりたい」と思うようになったが、「きっと無理だ」と諦めていた。IT関係の企業に就職するも、近年になりWebからヒット作が生まれるなど、作品をアピールできる場がより身近になったことで、チャンスを掴みに行った。「1回しかない人生。好きなこと、やりたいことをやりたい」という思いも応募のきっかけになったという。

 ▽アニメや特撮の映像作品を見ることで、作品へのインスピレーションを膨らませている。「クオンタム」というペンネームも漫画のキャラクターから「響きが良い」と使っている。現在はライターとして求職中。「多数の続編を出して、胸を張って『作家』を名乗れるようになりたい」。自分が描いた夢に向かって一歩一歩進んでいく。

※デビュー作は有隣堂厚木店で購入できるほか電子書籍で読むことができる。

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