ラメールが地域資源活用 寒川町初の県認定事業に 寒川町

発売直前の試作品を手にする大関社長

 ラメール洋菓子店の大関博之社長が開発に取り組むスポンジ菓子が、神奈川県地域資源活用事業の認定を受けた。寒川町では初めて。開発中ながら発売する段階を迎えており、この取材後、店頭に並ぶことになる。

 神奈川県の地域産業資源とは、具体的には地域の特産物として相当程度認識されている農林水産物または鉱工業品、その鉱工業品及びその生産に係る技術、文化財、自然の風景地、温泉などを指す。県内には、三崎のまぐろや箱根温泉など166品目ある。寒川町では「県の〇〇」という括りで農作物などが対象となっているが、地域産業資源を活用して事業計画を策定し、県を経由して国の認定を受けたのは同店が初めてとなる

 大関社長自ら開発に乗り出したのがフルーツを生地に練り込んだスポンジ菓子。フルーツは神奈川県のミカン、イチゴ、トマト、ナシで、ミカンは小田原の「西の香」などを使用し、1年の開発期間を経て、認定事業として店頭販売できる段階に達した。計画は概ね5年の予定で、3年目はパッケージやネーミングの確定、4年目は自店舗以外での発売、5年目に事業の結果評価を受けて終了となる。

果実練り込んだ「大地のスポンジ」

 本紙発行日の3月23日には店頭に並んでいる予定のこの菓子は『大地のスポンジ』と名付けられた。初回はナシ以外の3種のフルーツを使用。箱は1200円、単品は180円(いずれも税抜)。大関社長は「フルーツをジャム状にして生地に練り込み、しっとり感を出しました。粉などにこだわり、一から作り上げました。久々の開発作業は楽しかった」と話す。

 同店では、このところ若手パティシエがコンテストで結果を出すなど、大関社長は名伯楽的な立場だったが、今回は自ら腕を振るうことを楽しんだ。使った粉についても「家の構造計算をするような感じで、いろいろと試した」と1年の開発期間を有効に使った様子。かつて、各種コンテストやテレビ番組等で名をはせた大関社長が若手の活躍に刺激を受け、久々に「血が騒いだ」のかもしれない。

 開発期間とはいえ味の方向性は定まった。しばらくは同店のみで購入することができる。

認定式は3社で。前列右から2人目が大関社長

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