「島耕作」が五島を視察 県事業「描いてみんね!長崎」 誘客効果検証へ

 ついに、あの「島耕作」も長崎県にやってきた-。漫画や小説に長崎県を登場させ読者の誘客を狙う県の事業「描いてみんね!長崎」で、連載中の漫画「会長 島耕作」に五島市などを舞台とした話が載った。県は2016年度から漫画家らを取材旅行に招いており、これまでに計8作品で県内が取り上げられた。サラリーマン漫画の「金字塔」といわれる島耕作シリーズに反映され、県は手応えを感じているが、今後は誘客効果を検証する構えだ。
 県文化振興課によると、1月中旬から2月上旬に発売された週刊漫画雑誌「モーニング」(講談社)の「会長 島耕作」に3回にわたって掲載。総合電機メーカー会長の主人公、島耕作が海洋エネルギーの将来性を見込んで五島市沖の浮体式洋上風力発電機を視察する、といった内容。市内で養殖される「近大マグロ」に舌鼓を打ち、新上五島町にある世界遺産候補の頭ケ島天主堂に行くシーンなども。著者の弘兼憲史さんが昨夏、取材旅行で訪れ、同課職員らが付き添った。
 このほか、講談社や集英社などの漫画雑誌の掲載作品に長崎県が登場した。
 小説では、テレビドラマになった「校閲ガール」の著者、宮木あや子さんが昨夏、取材旅行で来県。今月16日発売の新潮社の電子書籍「yomyom」で連載が始まった「手のひらの楽園」は、大村市の向陽高校がモデルという。
 行政が漫画家や小説家を招いて作品化してもらう試みは珍しい。同課は「出版社や作家も県のバックアップで取材先の協力を得やすくなり、地元の人しか知らない情報を詳しく知ることができる」と相互のメリットを説く。18年度は3カ年の事業の最終年度となる。
 ただ、長崎県が露出したことでどれくらい誘客効果が出たかはつかめていない。同課担当者も「友達や県職員から『出てたね』との声は聞く」とするが、効果を把握する手法は確立されておらず、今後検討する。

「会長 島耕作」で五島市沖の浮体式洋上風力発電機が登場するページ=(c)弘兼憲史/講談社

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