球団創設14年目の楽天 期待がかかるチーム“初”の個人タイトルは?

楽天の若きクローザー・松井裕樹【写真:荒川祐史】

岩隈、田中、則本ら先発投手は主要タイトルを獲得

 楽天は今年で球団創設14年目を迎えた。この間に田中将大が最優秀防御率、最多勝、最優秀投手・勝率第1位、最多奪三振、山崎武司が本塁打王、打点王に輝くなど、楽天の選手も主要のタイトルを獲得してきた。

 楽天選手が獲得した主要タイトルは以下。

○最優秀防御率

岩隈久志 2008年
田中将大 2011年、2013年

○最多勝利

岩隈久志 2008年
田中将大 2011年、2013年

○最優秀投手・勝率第1位

岩隈久志 2008年 
田中将大 2011年、2013年

○最多奪三振

田中将大 2012年
則本昂大 2014年、2015年、2016年、2017年

○首位打者

リック 2008年
鉄平 2009年

○最多本塁打

山崎武司 2007年

○最多打点

山崎武司 2007年

○最多盗塁

聖澤諒 2012年

※ベストナイン、ゴールデングラブ賞、新人王、MVP、沢村賞といった表彰は除く

楽天所属の選手が獲得していない個人タイトルは…

 その一方で、最優秀中継ぎ投手、最多セーブ投手、最多安打、最高出塁率の4部門は、13年間で獲得した選手が誰もいない。この4部門の中で最もタイトル獲得に期待が持てるのは、最多セーブではないだろうか。楽天の抑えには、いまや日本を代表する守護神となった松井裕樹がいる。

 2013年のドラフトで1位指名され、楽天に入団した松井は、1年目は主に先発を務めたが、2年目の2015年にリリーフへ配置転換。当初はセットアッパーでの起用が予定されていたが、抑え候補だったミコライオの故障により開幕から守護神を務めた。この年、松井はシーズンセーブ数の球団記録を塗り替える33セーブを挙げ、同年11月に行われたプレミア12の侍ジャパンに選出されるほどの投手に成長した。

 抑え2年目となった2016年は、5月14日と15日のロッテ戦で、2試合連続でサヨナラ負けを喫するなど、春先は不安定な投球が目立った。それでも8月は11試合に登板して、9セーブ、防御率0.69を記録し自身初の月間MVPを獲得。最終的には30セーブをマークし、2年連続で30セーブを達成した。

 昨年は開幕前に行われた「第4回ワールド・ベースボール・クラシック」の侍ジャパンの一員として、世界一を目指し日の丸を背負った。シーズンが開幕してからは、4月25日の千葉ロッテ戦で3者連続3球三振で試合を締めるなど、抜群の安定感を誇った。夏場に故障で離脱した時期もあったが、33セーブを記録した。

松井は3年連続30セーブも4年連続300セーブの鷹サファテが君臨

 最多セーブ投手のタイトル獲得までに至っていないが、3年連続30セーブをマークし、昨年はセーブ数リーグ2位。タイトルに手が届きそうな位置に近付いてきている。

 最多セーブ投手のタイトル獲得に期待がかかる松井の最大のライバルとなりそうなのが、ソフトバンクのサファテだ。サファテといえば、昨年、岩瀬仁紀、藤川球児が持つシーズン最多の46セーブを大きく上回る54セーブを挙げた。2014年にソフトバンクに移籍してから4年連続で30セーブ、15年からは3年連続で最多セーブ投手に輝くなど、絶対的な守護神だ。

 また、松井がサファテよりもセーブ数を挙げるためには、チーム状況も関係してくる。サファテが所属するソフトバンクは2014年から4年連続Aクラス入りを果たしており、他球団に比べると勝ち試合、セーブ機会も多い。一方、松井が所属する楽天は昨年こそ3位に入ったが、2014年、2015年、2016年はBクラスだった。

 松井が最多セーブ投手のタイトルを獲得するためにも、チームの勝ち試合を増やす必要がある。チームの勝ち星とともに、セーブ数が増えれば、5年ぶりのリーグ優勝、そして個人タイトル獲得も見えてくるはずだ。

(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

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