もう一度走る<<22>>/Yasuko Marue

2018年3月12日

仕事を終えて

いつものようにラン君に逢いに行くと

先生が

“包帯を外してみました”とさらっと言いました。

突然の言葉に私の反応は遅かったと思います。

そして私の目はラン君の右前足に釘づけになりました。

2度目の皮膚移植手術をしてから約3ヶ月

どれほどこの日を待っていたでしょう。

涙が溢れてきました。

“ラン君、おめでとう!包帯が取れて良かったね!”

“ずっと頑張ってきたものね”

“嬉しいね!”

そう言って

思いきり抱きしめたい衝動を抑えて

優しく全身を撫でました。

包帯が取れた右前足には

うっすらと産毛が生えていました。

休診日の翌日

たった1日でも毛が伸びているのが分かりました。

数日で表側は毛が生え揃ってきて、裏側も瘡蓋になりました。

エリザベスカラーを着けているので包帯が取れても傷の部分を舐めることはできないので安心しました。

以前、我が家の猫ちゃんに寝ている時に鼻を舐められて、朝起きたら擦りむけたことがあります。

猫ちゃんの舌はヤスリのようにザラザラしているのでカラーを着けてなかったら、やっと再生した皮膚を傷つけてしまいます。

3月17日

ラン君との楽しい時間を過ごし

いつものように背中を撫でながら

“明日は午前中に逢いに来るからね”

“大好きだよ”と言うと

ラン君は私が帰ることがわかり

私の指を甘咬みしました。

“帰らないで!”と言っているようでした。

感情表現ができるようになり

自分の意思も伝えることができるようになって

ますますラン君との距離が近くなったと感じました。

そして、更にラン君の変化は続きます。

に続く

著者:Yasuko Marue (from STORYS.JP)

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