二宮の町民有志 閉館惜しみ映画会 31日、駅前町民会館に幕 大磯町・二宮町・中井町

築60年の駅前町民会館

 60年にわたり町民活動などに使用されてきた二宮町の駅前町民会館(旧公民館)が、3月31日をもって閉鎖される。思い出が詰まった昭和の建物で最後に昔の映画を観賞しようと、町民有志グループが上映会を同日に開く。

 主催は「さよなら、駅前町民会館 映画会実行委員会」。昭和25年から60年までの二宮町と近隣地域の出来事や話題を伝える「神奈川ニュースダイジェスト」(約40分)と、時代劇映画『婉という女』を上映する。町教育委員会から神奈川ニュースのDVDを借り受け、映画会の趣旨に賛同した神奈川県央シネサロンが無償で作品を提供してくれることになったという。

 ニュースダイジェストは27編。戦後復興期と高度経済成長期のニュースを中心に、市郡対抗駅伝競走や大磯の国府祭、二宮の園芸試験場などを紹介している。実行委員会代表で町議の渡辺訓任さんは「二宮町の敬老会の映像で、リヤカーに乗ったお年寄りが牛に引かれて公民館へ行く。今見たら驚くような場面もあり、老若男女多くの人に観てほしい」と話す。午後2時と5時30分からの2回上映。

 『婉という女』の上映は午後3時から。失脚した土佐藩家老の娘に生まれ、40年間幽閉された女性の物語で、岩下志麻さん主演。

 入場無料。実行委員会では映写機材の貸し出しや技師の派遣などに対する謝礼に充てたいと、来場者に呼び掛けて協力金を募る。

閉鎖後、建物解体へ

 同会館は1958年3月、公民館として二宮駅北口に竣工した。一部分が木造2階の鉄骨造1階建てで、延べ床面積689・12平方メートル。2010年に公民館から貸館へと位置付けが変わり、サークル活動や集会、イベントなどに使われてきた。町観光協会が間借りして事務所と特産品販売所「にの屋」を設置している。

 築60年が経つ施設は老朽化が著しく、耐震性の低さが指摘されていた。現状のまま使用を続けることは難しいと、町は昨年夏に今年度限りで同会館を閉鎖する意向を表明。12月の町議会定例会で閉鎖が決定した。

 閉鎖後は安全面を考慮し、建物を解体する予定。跡地の利用方法については、他の公共施設を含む再配置・統廃合を検討しながら、前段階として駐車場を整備していく方針という。

 町民会館の閉鎖に伴い、町観光協会と「にの屋」は4月1日(日)に町民センターへ移転する。

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