神奈川県内の公示地価 住宅地、2年ぶり上昇

 国土交通省は27日、今年1月1日時点の公示地価を公表した。県内の平均変動率は、住宅地がプラス0・1%で2年ぶりに上昇に転じた。商業地はプラス1・9%で6年連続、工業地もプラス1・9%で5年連続で上昇した。

 都心へのアクセスに優れ高度商業地を形成する横浜、川崎両市、リニア中央新幹線の新駅が設置される相模原市緑区の橋本駅周辺が引き続き上昇をけん引。交通利便性の高い大和市、駅前再開発が進む海老名市も堅調に推移した。一方、人口減や高齢化、繁華性の低下が進む三浦半島や県西部は下落に歯止めがかからず、二極化が進んだ。

 住宅地の1平方メートル当たりの平均価格は18万7400円。継続地点1326のうち、上昇と横ばいを合わせた割合は68・6%と前年比1・8ポイント増加。横浜、川崎、相模原の3政令市全区は5年連続で上昇した。

 上昇率の県内1位は、横浜市港北区綱島東。パナソニック工場跡地に開発された「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン」のまちびらきが今春に迫り期待感が表れた。橋本駅周辺は4地点が上昇率10位以内に入った。

 一方で、下落率が大きい10地点は三浦、横須賀市が占めた。1位から3位は京急線三崎口駅周辺の3地点。三浦市はマイナス5%台、南足柄市、山北町、真鶴町、清川村はマイナス3%台の下落となった。前年横ばいだった鎌倉市は、駅から離れた住宅地が敬遠され下落に転じた。

 商業地の平均価格は47万9400円。県全体の上昇率は昨年の1・6%から1・9%に拡大。継続地点355のうち、上昇と横ばいを合わせた割合は86・2%となった。

 地区別では住宅地と同様、3政令市の全区で上昇。横浜駅前再開発の進捗(しんちょく)による収益性の上昇や投資資金の流入期待などによって、横浜駅周辺の7地点が上昇率10位以内に入り全体を押し上げた。再開発が進む川崎駅前地点は昨年に引き続き県内商業地価格の第2位となり、相模原市も3年連続で全区で上昇した。箱根山の火山活動などにより落ち込んでいた観光客数が盛り返しつつある箱根町は横ばいから上昇となった。

 工業地の平均価格は11万9600円。県全体では昨年の2・0%から1・9%に上昇幅が縮小したが、継続地点70のうち上昇と横ばいを合わせた割合は92・9%と前年比2・0ポイント上昇した。

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