葉山町に藤田嗣治の水墨画寄贈 逗子の石森さん

 ことし没後50年を迎え、エコール・ド・パリの時代を代表する洋画家・藤田嗣治(1886~1968)の水墨画「海の幸」が20日、葉山町に寄贈された。貝類の研究者との交流のお礼として描かれたもので、来月から町内で展示される。

 藤田は東京に生まれ、26歳のときにフランスに渡ってピカソらと交流。乳白色の絵肌に線描する独自の作風を生み出した。

 「海の幸」は1938年の作品で縦27センチ、横24センチの色紙にハマグリとタコが描かれている。寄贈したのは逗子市の石森昭文さん(77)。沖縄で貝類を研究していた石森さんの父・正孝さんが藤田と出会い、ハマグリとタコが軟体動物として同じ仲間であると説明したところ、藤田が感激して描いたという。

 正孝さんは生前、葉山に住みたいと話していたといい、正孝さんの供養と「子どもたちが自然に触れるきっかけになれば」との思いで寄贈を決めた。山梨崇仁町長は「貴重な作品を大切に受け継いでいきたい」と感謝した。

 作品は4月24日~5月20日、葉山しおさい博物館(同町一色)で展示される予定。

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