期待の若手出現で競争激化の日本ハム エース流出の翌年は吉兆シーズンに

日本ハム・石井一成【写真:石川加奈子】

大谷翔平、マーティン、増井浩俊がチームを離れたが…

 北海道日本ハムの2018年シーズンは、3月30日に本拠地・札幌ドームで開幕する。日本一に輝いた一昨年から一転し、リーグ5位という結果に終わった昨季。今季は日本一奪取に向けて、雪辱を期すシーズンとなる。昨季の北海道日本ハムは、大谷翔平(現・エンゼルス)や近藤健介が故障に悩まされ、前年の勝ち頭だった有原航平や、打点王を獲得した中田翔が不振にあえぐなど、チームの主力が万全の状態で揃わない状況が長く続いた。

 しかし、一方では多くの若手が出場機会を得て、与えられたチャンスを生かしたシーズンでもあった。その筆頭が、松本剛と大田泰示だろう。松本は、4月下旬からスタメンに定着すると、シーズン途中には3割を超える打率を残す。自己最多を大きく更新する115試合に出場し、プロ初本塁打、初の規定打席到達と充実の1年を過ごした。大田は2016年オフ、トレードで北海道日本ハムに移籍。開幕こそ故障で出遅れるも、プロ9年目にして初の2桁本塁打(15本)を放って、大器の片鱗を見せ付けた。

 投手陣では、大田とともに巨人から加入してきた公文克彦が、救援左腕として存在感を示した。プロ5年間で、1軍登板はわずか16試合にとどまっていたが、昨季は41試合に登板。防御率2.70と安定感を見せ、宮西尚生に続くサウスポーとしてブルペンを支えた。

 今季プロ4年目を迎える右腕・石川直也も、数多くの実戦経験を積み、飛躍のきっかけをつかむシーズンを送った。先発・中継ぎの両方をこなし、自己最多の37試合に登板。プロ初勝利を挙げることはできなかったが、長身を生かした角度のある直球とフォークを武器として、来季は投手陣をけん引する1人になることが期待されている。

 そして、何といっても今年の注目は熾烈なポジション争いだ。大野奨太(現中日)が抜けた捕手陣では、清水優心を筆頭に、復帰を果たした實松一成、鶴岡慎也の両ベテラン、さらに石川亮や市川友也が加わり大混戦となっている。この中から抜け出すのは誰か。巨人、福岡ソフトバンクなど、日本一を経験した強豪チームの「常勝イズム」が注入される点にも期待したいところだ。

各ポジションに虎視眈々とレギュラーを狙う若手たち

 また、昨季活躍のチャンスに恵まれた石井一成や太田賢吾、渡邉諒といった若手内野手は、今季のブレイクが期待される。平沼翔太なども含めた中から、田中賢介や中島卓也を脅かす存在が現れれば、チーム力が格段に上がることは間違いない。

 中田やレアードといった長距離砲たちも、うかうかしていられない。ドラフト1位の清宮幸太郎は離脱したが、今井順之助、横尾俊建などポジションを狙う選手は数多い。DHの枠も含め、新外国人のアルシアを巻き込んでの熾烈なレギュラー争いとなりそうだ。

 さらに今季は、3人の新外国人投手がやってきた。マルティネス、ロドリゲスは、ともにオープン戦では調子の波が見られたが、ポテンシャルは確かなもの。守護神を任されそうなトンキンも、オープン戦を無失点で終えており、大いに期待が持てる。

 大谷(現・エンゼルス)、増井浩俊(現・オリックス)、マーティン(現・レンジャース)と主力選手の移籍が相次いだ昨オフ。思い起こすのは、ダルビッシュ(現・カブス)が海を渡り、その大きな存在を欠いた中で迎えた2012年シーズンだろう。

 大エースがいなくなったシーズン、吉川光夫(現・巨人)の台頭などもあり、チームは3年ぶりのリーグ優勝を果たした。若手、ベテラン問わず激しいチーム内競争が繰り広げられるであろう今季の北海道日本ハム。一時代が終わり、新たな船出を迎えた「ファイター」たちの戦いに注目していきたい。

(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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