“ハマのクローザー”山崎康晃が明かす笑顔のワケ「いつまでも野球少年で」

DeNA・山崎康晃【写真:荒川祐史】

失敗も含めて今の自分がある…25歳右腕が語る4年目への思い

 プロ入り4年のシーズンを迎えるDeNA・山崎康晃投手。ルーキーイヤーから守護神を襲名し、史上初の入団1年目から3年連続20セーブ超えを果たすなど、着実に成績を積み上げてきた。デビューから3年で早くも通算96セーブ。100セーブの節目まで4セーブと迫る25歳右腕の存在は誰もが知るところとなり、今では野球日本代表「侍ジャパン」でも9回のマウンドを任されるようになった。

 圧倒的なパフォーマンスを見せる一方、常にファンサービスに努め、チームメイトのオフショットが満載のツイッターは、NPB最多の67万人を超えるフォロワーを数える(3月28日現在)。オフには初の自叙伝「約束の力」(飛鳥新書・3月21日発売)の制作にも挑戦し、日本屈指のクローザーとなるまでの道のりを明かしている。

 日本シリーズまでコマを進めながらソフトバンクに敗れ、あと一歩のところで涙を呑んだ昨季。日本一という目標がより具体的に見える今季、「ハマのクローザー」は何を思って開幕を迎えるのか――。

――今シーズンに向けて調整の手応えを教えて下さい。
「キャンプの後で3月に侍ジャパンの試合もあったりので、急ピッチの仕上げ方でしたけど、ここまで怪我なくできています。特に新球の『スラーブ』というボールに力を入れて練習して、オープン戦でも実際に投げました。開幕してから、投げるのが楽しみな1球でもあります」

――デビュー以来これまで順調に成績を残してきました。昨年はチームも日本シリーズを経験。今季はどんなシーズンを送りたいですか?
「毎年怪我なくやれていますけど、9回で投げさせてもらっているポジションに関しては『投げる幸せを感じながら』自分自身のスキルアップ、レベルアップを求めてやっていければいいなと思います。今ある現状に満足するつもりはないですし、もっとよくなりたい、もっとうまくなりたい、そんな一心で今シーズンを迎えるんで、自分自身のパフォーマンスへ期待を込めて楽しみな1年にしたい。今の状態はそんな感じですね」

――守護神はプレッシャーのかかるポジションですし、精神的に平穏を保つが大変だと思いますが、いつも笑顔でいられる秘訣を教えて下さい。
「もともと明るい性格だと自分でも思っています。でも、僕も人間なんで、打たれる時もあれば……。だけど、やっぱり毎日同じようにグラウンドでプレーするようには心掛けていますね。

 僕楽しいことが好きなんです。みんなとノックしたり、キャッチボールしたり、やっぱりいつまでも野球少年のつもりでいますし、野球が好きなんでね。みんなと他愛のない話をして笑ったりして。家族より長い時間を過ごしますから、そこは絶対楽しい方がいいし、みんながお互い気持ちのいい職場であればいいと思っているので、笑顔でいられるように心掛けています。

 これまでプロに入って3年間いろいろありましたけど、何回も心が折れそうになったこともあった。でも、結局今となってはいい経験になっています。今の自分があるのもそういう失敗も含めてだと思っているので、いい経験をさせてもらっています」

「やっぱり借りを返すのはグラウンドでしかない」

――怒ったり、つい何かに当たってしまったり、という姿は想像できませんね。
「いやそれはありますよ(笑)。そういう時は、家にまっすぐ帰るんじゃなくて、ちょっと考える時間を作ったりだとか、ドライブしながら大きな声で歌ったり、1人になって感情を出すこともありました。だけど、やっぱり借りを返すのはグラウンドでしかないと思うので。本当にいろんな場面を経験していろんな心境になって、考えさせられるようになりました。それもやっぱりこのチームに入ったから、これまでの成績もある。いろんな意味で成長させていただいています」

――25歳といえば一般にはまだ若いですが、チームでは既に中心選手になりつつあります。
「若い選手が多いですし、だんだん後輩も増えてきて、4年目になって“お客さん”というつもりではやっていないんで。チームを引っ張っていく側として、言動や行動もそうですし、グラウンドを離れた後も自覚ある行動と、チームでも明るく声を出してニコニコ笑うことを心掛けて日々やっています」

――いよいよ30日に開幕を迎えます。開幕の朝はどのように過ごしますか?
「何も変える必要はないと思うし、いつも通り朝ご飯を食べて、ゆっくり9回にあわせてリラックスして臨みたいなと思いますね」

――開幕の朝は鯛のオカシラを、という選手もいますが。
「どうなんですかね。あんまりルーティンとかは作らない方なんで。ま、でもいつもと変わらずやりたいですね。特に何も変えることもなく。本当はパンが食べたいんですけど、必要な栄養をとるために、開幕日の朝はご飯を食べます」

 本拠地・横浜スタジアムでは、大歓声の中、リリーフカーに乗って9回のマウンドに登場する。山崎はリリーフカーから降りる時、必ず運転手にお礼を言うというルーティンを3年間変えずに続けている。4年目を迎える今季も、そのスタンスを変えるつもりはない。「そこだけは唯一のルーティンだと思っているので、感謝の気持ちを伝えてマウンドでしっかり結果を残せるようにしたいと思います」。笑顔の裏に隠された強い気持ちで、今年もDeNAの勝利を締めくくる。

(Full-Count編集部)

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