2018年レギュラーシーズン アメリカン・リーグ地区別展望

いよいよ明日、メジャーリーグの2018年シーズンが開幕する。昨季はア・リーグ西部地区を独走で制したアストロズが、その勢いのままに球団史上初のワールドシリーズ制覇を成し遂げた。オフシーズンの戦力補強を経て、今季はどのチームがポストシーズンへコマを進めるのだろうか。

東部地区はヤンキースとレッドソックスによる一騎打ちの様相を呈している。ヤンキースはジャンカルロ・スタントンらを獲得し、強力打線をさらに強化。アロルディス・チャップマンを中心としたブルペンは元々強力であり、先発投手陣がしっかり仕事をすれば必ず優勝争いに絡んでくるだろう。レッドソックスは念願の大砲としてJ.D.マルティネスを獲得。好打者が並ぶ打線に核ができた。ブルペンには絶対的守護神のクレイグ・キンブレルが君臨しており、デービッド・プライスやリック・ポーセロが復活を遂げれば、今季もワールドシリーズ制覇の有力候補だ。放出が噂されたジョシュ・ドナルドソンをキープしたブルージェイズは、投打ともに悪くない戦力が揃っており、ポストシーズン争いに加わってもおかしくない。オフの補強でなんとか先発ローテーションの頭数を揃えたオリオールズは、マニー・マチャドを中心とした打線がなかなかの破壊力を誇るだけに、浮沈のカギを握るのは投手陣ということになる。エバン・ロンゴリアら主力選手を放出したレイズは有望株にも故障者が相次いでおり、厳しいシーズンとなりそうだ。

中部地区は絶対王者のインディアンスに、積極補強を展開したツインズが挑むという構図になる。カルロス・サンタナやブライアン・ショウが抜けたインディアンスはやや弱体化した印象を受けるが、それでもコリー・クルーバー、アンドリュー・ミラーらを擁する投手陣は強力であり、打線もなかなかの得点力を誇る。故障者が続出するようなことがなければ、今季も地区優勝は確実だろう。ツインズはアービン・サンタナの出遅れとホルヘ・ポランコの出場停止が痛い。とはいえ、バイロン・バクストンら若手選手にはさらなる成長が期待できるため、昨季のように予想以上の快進撃を見せてくれるかもしれない。ホワイトソックスはヨアン・モンカダ、マイケル・コペックら有望株の活躍に期待。タイガースはミゲル・カブレラなど好選手を擁するものの、ポストシーズン争いに加わるには投打とも戦力が不足している。ロイヤルズはエリック・ホズマー、ロレンゾ・ケインらが抜けただけでなく、正捕手のサルバドール・ペレスを故障で欠く事態となり、厳しい戦いを強いられることになりそうだ。

西部地区は各球団が虎視眈々と上位浮上を狙っているものの、アストロズの王座は揺るがない。打線は昨季のメンバーがそのまま残っており、投手陣にはパイレーツのエースだったゲリット・コールを補強。ケン・ジャイルズらブルペン陣さえしっかり機能すれば、昨季同様に独走態勢を築いてもおかしくないくらいの戦力が整った。そのアストロズを追うのがエンゼルス、マリナーズ、レンジャーズの3球団。エンゼルスは大谷翔平を含め、不確実要素の多い先発投手陣が戦いのカギを握る。マリナーズはロビンソン・カノー、ネルソン・クルーズ、カイル・シーガーの3人が形成する中軸が強力なだけに、その他の打者と投手陣の頑張り次第ではポストシーズン進出も夢ではない。レンジャーズは投打ともまずまずの戦力を揃えたものの、アストロズに対抗できるほどではなく、ワイルドカードでのポストシーズンが現実的な目標となる。取り残された感のあるアスレチックスはマット・オルソン、マット・チャップマンなど楽しみな若手選手が育ちつつあり、彼らが経験を積み、来季以降へつながるシーズンとなれば今季は成功と言えるのではないだろうか。

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