【MLB】“宝刀”フォーク、チームへの適応…Dバックス平野佳寿、開幕へ語る決意

ダイヤモンドバックス・平野佳寿【写真:田口有史】

30日に開幕戦ロッキーズ戦、適応は「ずっと野球をやっているので大丈夫」

 オリックスからダイヤモンドバックスに移籍した平野佳寿投手は、29日(日本時間30日)のロッキーズとの開幕戦をセットアッパーとして迎えることになった。34歳のルーキーは、同僚も称賛する宝刀スプリットを軸にメジャーの猛者を仕留めていく気概を示している。 

「キャンプを終えて、特に大きな怪我はなかったので良かった。適応に関してはこっちのやり方に合わせるしかない。ずっと野球をやっているので大丈夫です」 

 順調に1年目のキャンプを締めくくった平野は晴れやかな表情だった。キャンプ序盤は失点を繰り返す洗礼を浴びたが、9回に4番手で登場した26日(日本時間27日)にオープン戦インディアンス戦では、強豪相手に3者凡退という上々の仕上がりを見せた。 

 この試合では、先頭打者のナキンをカウント2-2と追い込み、5球目のスプリットで空振り三振に仕留める場面も。平野のこの“宝刀”スプリットの威力を同僚も高く評価しており、ジェフ・マシス捕手は「あれはヨシのマネーピッチだ。テーブルから落ちるように落下する」と脱帽していた。 

「感覚はやっぱりちょっと違う。まだまだ完璧な慣れというものはない。その中でも、しっかりコントロールできているのはいいこと。落ちる時も落ちない時もある。それは日本の時と一緒なんで。それでも、絶対に落ちないことはない。投げてるうちに慣れてくる。そういう感覚です」 

 平野はまだ調整段階だと語る。オープン戦は9試合に登板し、メジャーの強打者と対峙したが、相手の研究以上に現時点では自分にベクトルを向けている。 

クラブハウスでもマイペース「この雰囲気は嫌いじゃない」

「とりあえず自分のピッチングで抑えることが精一杯。このバッターがすごいとか感じる暇はない。とりあえず必死に抑えるだけです。日本と同じように真っ直ぐ、フォーク、スライダーを投げている。今のところは他のボールを試していない。しっかりフォークボールを使いたい。そのために、高めのボールをしっかりと使っていくことが大事かなと思っている。いい感じで落ちる時は空振りを取れているので」 

 低めに急降下する宝刀スプリットを生かすためにも、高めの速球をしっかり見せる。それがメジャーで生き残る生命線だという。 

 クラブハウスでもマイペースを貫いている。チームメートとの食事については「行かないですね」と言う。「さすがに行っても面白くないでしょう。自分が(英語を)喋れるようになったら行きますけど。シーズン入ってから誘ってもらえるといいですね」。それでも、「この雰囲気は嫌いじゃない」と語るなど、孤立している様子はない。ロッカールームで横だったフェルナンド・サラス投手が「オツカレサマ」と日本語で声をかけるなど、溶け込む様子を見せている。 

 また、アリゾナキャンプ中には、同地区のライバルとなるドジャースの前田健太投手、パドレスの牧田和久投手と食事に出かけたという。「牧田と前田くんと何回かご飯に行きました。牧田もすごくいいピッチャー。一緒に頑張りたいですね」。スプリングトレーニングでは独特のサブマリン投法で話題を呼んだ同じルーキーの牧田とともにメジャーを盛り上げるつもりだ。 

 渡米後に驚いたことは「特にない」と言い切る平野。昨季、プレーオフの地区シリーズでドジャースに3連敗を喫したDバックスの躍進に、まずはセットアッパーとして貢献するつもりだ。 

(Full-Count編集部)

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