女神の仕業…?

 ♪ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な…ご当地・甲子園にお住まいの気まぐれな女神さま、互いに譲らぬ好ゲームの勝者を決めかねた揚げ句、懐かしい手遊びに興じていたのかもしれない。春の選抜高校野球、本県の創成館高の3回戦▲ドラマの始まりは1点を追う九回裏。好投の相手左腕を創成館打線がとうとう捕まえた。1死二、三塁からフラフラと上がった浅い飛球。返球を焦ったか、外野手がまさかの落球。思わぬ形でまず同点▲なおも1死満塁、サヨナラのチャンス。だが、次打者の打球は微妙な判定の末、不運な併殺で攻撃終了。ああ女神さま、何て思わせぶりなあなたのシーソー▲しかし、諦めの悪い私たちと違って「さっきのジャッジ変でしょ、だって捕った野手が送球を急がないのが直接捕球の何よりの証拠…」などと選手は口をとがらせたりしないのだった。審判は絶対。ゲームは続いている、さあ延長だ…興奮のラストシーンはスポーツ面でたっぷりどうぞ▲無闇(むやみ)に精神論を持ち出すのはおじさんの悪い癖と知りつつ、つい思う。極めつけの快打を呼んだのは、逃した好機をくよくよ悔いず、潔く気持ちを切り換えて試合に集中する姿勢▲それにしても、女神も魔物も手の出せない大きな放物線の見事だったこと。4強を懸けた次戦はあす。(智)

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