ホークス初勝利の影の貢献者 本多が残した一言「打つだけが野球じゃない」

ソフトバンク・本多雄一【写真:藤浦一都】

オリックス西を相手に粘りの打席で攻める

 2018年のペナントレース開幕戦。球界全体がお祭りのように沸く、華々しい1日となる。この日、2年連続の日本一を狙うソフトバンクホークスは、本拠地ヤフオクドームにオリックスを迎えた。

 試合はソフトバンク千賀滉大、オリックス西勇輝の両開幕投手による素晴らしい、ピリッと引き締まった投手戦が展開され、7回までスコアボードにはゼロが並び続けた。試合が動いたのは8回、ソフトバンクの攻撃だった。

 7回まで114球を投げていたオリックスの西だったが、8回も続投。そこをソフトバンク打線がつかまえた。先頭の上林誠知が右前安打を放って出塁すると、甲斐が送りバント。今宮が四球、本多が右前安打と繋いで1死満塁とすると、柳田が右腕の初球、高めの真っ直ぐを左中間へと弾き返した。試合を決める2点適時二塁打。ここまで好投していた西をマウンドから引きずり下ろした。

 この試合のヒーローは千賀滉大と柳田悠岐。それは間違いない。ただもう1人、殊勲の選手をあげるとするならば、それは本多雄一だ。

 この日「2番・二塁」でスタメン出場した本多は、得点を奪った8回1死一、二塁でチャンスを拡大させる右前安打を放った。これも大きかったが、それよりも大きかったのが6回、空振り三振に倒れた第3打席だ。1死一塁で打席に立つと、ファール、見逃しと2球で追い込まれた。だが、ここから5球連続ファウルで粘りに粘った。結果として空振り三振だったが、これが後に効いた。

第3打席でファウル5球、守備でも渋く勝利に貢献

「甘い球がない中で、粘れたのは良かった。100球超えても投げれくるとは思っていましたけど、柳田が仕留めてくれたことに尽きます」と振り返る。試合も中盤を過ぎ、西は本多を迎えるまでに87球。本多に粘られたことで95球まで球数を増やした。100球を目前にして粘られたことは、右腕にとってイヤだったはずだ。

 8回も続投した西について、オリックスの福良淳一監督は「この試合は西に任せた」と意図を明かす。本多への8球が仮に3球で終わっていたとしたら109球。たかが5球の差ではあるが、開幕戦という独特のプレッシャーの中では、疲労の溜まり方は通常の試合とは違うもの。少なからず、本多が投げさせた球数は西にボディーブローようにダメージを与えただろう。

 8回の守備では、ロメロの強烈なセカンドゴロを逆シングルで掴み取った。8回に放った今季初安打に加え、攻守両面での働きが光った。13年目を迎えるベテランといえども「緊張するものは緊張します。キツイ1日だった」という開幕戦。プレッシャーのかかる中で、きっちりと役割を果たした本多が残した一言が印象的だった。「打つだけが野球じゃないですからね」。

(Full-Count編集部)

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