町内にある空き家を解消しようと、愛川町は地元の金融機関「相愛信用組合」(同町中津)と空き家対策に関する協定を結んだ。空き家の購入や解体などを巡る相談窓口機能を強化したり、町の制度と連携し住宅ローンの金利を優遇したりする。町によると、県内自治体で金融機関と空き家対策に特化した協定を結ぶのは初めて。
町が町内で把握している空き家の物件数は316件。近年増加傾向にあり、伴って空き家の管理、維持などに関する町への相談や苦情も増え、2017年度は過去最多の38件に上った。
こうした現状への対応を図るため、今回の協定では相談窓口機能を拡充。これまでは民間組織に橋渡しすることができなかったが、協定に基づき、リフォームや解体、取得などの費用を借り入れる際の相談窓口として同信組を紹介することを可能にした。
町が15年度に始めた「町空き家バンク制度」に登録された物件の購入希望者を対象に、同信組の住宅ローン制度「リビット」も利用できるようにした。
入居予定の家族の人数に応じ、最優遇利率からさらに最大で0・3%を割り引く。このほか、通常、中古物件は耐用年数の低さなどから長期のローンが組みにくいとされるが、最長35年の返済メニューを用意するなどした。
町は「協定により、町民に具体的な選択肢を示すことができるようになった」と強調。同信組も「融資獲得のチャンネルが新たに増える。地元金融機関として、町と連携して地域に貢献していきたい」と歓迎している。
両者は取り組みを充実させるため、それぞれのホームページで活動を周知。町が空き家所有者に空き家バンク登録を呼び掛ける際には、同信組の空き家対策に関する融資制度などのチラシを同封する。
29日には締結式が同役場であり、小野澤豊町長は「大変心強い。協定を実のあるものにしていくため、連携しながらまちづくりを進めたい」と述べた。