「みんなで見守る社会を」障害者保護者団体が集い

 障害児の保護者らでつくる横須賀市の自主グループ「モモの会」の30周年を記念した「感謝の集い」が31日、市立総合福祉会館(同市本町)で開かれた。発足当初から活動を支援している県立保健福祉大の阿部志郎名誉学長(92)が登壇し、これまでの歩みを振り返った。

 阿部名誉学長は、17年前の成人式で、新成人だった同会の男性が企画の抽選に当たり、1分間オーケストラの指揮を執ったエピソードを披露。知的障害のある男性がスタッフに手を引かれて舞台に立った際は会場がざわめき、あざ笑うような声も響いたという。それでも、男性が大好きなクラシック音楽の指揮を見事に成し遂げると、「嘲笑(ちょうしょう)していた青年が拍手を送っていた」と回顧した。

 男性の姿を「(成人式で)荒れる若者たちの教育者だった」とたたえ、節目を迎えた同会の役割について「子どもを守る会ではなく、子どもをみんなで守る社会をつくる会。これからも市民文化を切り開く活動を期待している」とエールを送った。

 集いには、同会に携わってきたボランティアら約100人が参加。会場にはこれまで開催してきたイベント写真が展示され、参加者らが思い出話に花を咲かせていた。

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