メクル第262号 生きもの大好き長崎編 ワラスボ 有明海のエイリアン

 模様(もよう)がきれいな魚や、あざやかな魚がいる中で、異彩(いさい)を放っている。ワラスボだ。“ラスボス”みたいに強そうな名前。ハゼ科の魚。体長約40センチ。細長い体の割(わり)に口は大きく、歯はむき出し。目は退化(たいか)し、黒い点だけ残っている。正面から見た顔は、「まるで有明海のエイリアン」とささやかれている。
 諫早(いさはや)ゆうゆうランド干拓(かんたく)の里「むつごろう水族館」には約10匹(ぴき)いて、ウナギのようにニョロニョロっと動いている。国内では有明海にだけ生息し、やわらかい泥(どろ)の中にいたり、潮(しお)が満ちてくると水中を泳ぎ回ったりするらしい。
 子どもたちはみんな「ぎゃーっ」「気持ち悪いっ」と、びっくりするそうだ。そんな反応(はんのう)に「ちょっとショックですね。自分にとってはかわいい存在(そんざい)なので」と、飼育(しいく)員の本間健夫(ほんまたけお)さん(64)。いとおしそうにワラスボを見つめ、「おいしいんです」と付け加えた。え、食べられるんですか。
 諫早市内のカキ小屋でも販売(はんばい)されていて、煮付(につ)けや干物(ひもの)にすると、いい味が出るんだって。こんなにこわい顔をしているのに。見た目によらないね。

ニョロニョロと泳ぐワラスボ=諫早市小野島町、諫早ゆうゆうランド干拓の里「むつごろう水族館」

© 株式会社長崎新聞社