「ぜんぶ抜く」に560人 お堀で清掃大作戦 小田原市

地引網をかける番組収録の様子

 テレビ東京系列の特定外来種を駆除する番組企画で小田原城のお堀の水が抜かれ、3月21日に収録が行われた。お堀の水約10万トン全てが抜かれるのは38年ぶり。収録と合わせ、約560人の市民と市職員が清掃ボランティアとして参加した。

 朝9時、雨の中続々とボランティアが集まってきた。手もかじかむようなこの日の気温は2〜3℃。購入したばかりの真新しい胴長を着て参加する人の姿も多かった。

 お堀の中での番組収録は10時半ごろから始まり、地引網による魚の捕獲が行われた。モツゴ3万1500匹、エビ類270匹、ハゼ類215匹の他、ナマズやウナギなども捕獲され、外来種はブラックバスとアカミミガメが見つかった。小田原城総合管理事務所の二見典克さんは、「気温が低かったため魚が活性化せず思ったよりも獲れなかったが、カミツキガメやワニなどの危険な外来種がいなくて良かった」と胸を撫で下ろした。

 テレビ東京のバラエティ番組、「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」の制作サイドから小田原市に打診があったのは昨年11月。市では数年前からダイバーによる清掃活動を行っていたが、これまで手が届かなかった部分も清掃できるとあって快諾。お堀の水門を3月14日の午後に開き、約1〜1・5mあった水深は2日後にはほぼゼロに。その後、水が溜まっている場所を番組が用意した水抜きポンプで吸い上げた。

 番組収録と並行して、お堀に入ったボランティアたちは網で生物を捕獲する他、瓶や缶などのゴミを収集。約4時間半の作業で2トントラック1台分のゴミを拾い上げた。栄町で靴店を営む松下善彦さん(45)は「手袋をしていても水が入って寒かったが、多くのボランティアが集まっているのを見て、小田原の市民力を感じた」と振り返る。三の丸小学校の保護者・児童と参加した高橋剛司さん(53)は「ゴミを上げるのが大変だったが良い経験でした。子どもたちにとっては、生態系の勉強になったのでは」と感想を話した。

 今回は数億円かかると見込まれるヘドロの清掃までは至らなかったが、「大勢の方のご協力のお陰で、短時間で成果が出ました」と二見さん。桜の観光シーズンまでにお堀が従来の景観に戻るよう、清掃終了直後から水を入れはじめ、満開直前の27日には無事に元の水深に戻すことができた。なお、番組の放送は4月22日(日)午後7時54分からを予定している。

捕獲されたブラックバス

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