多摩区内特殊詐欺「カード交付型」が多発 川崎市多摩区

「キャッシュカード交付型」の手口の実演=1月、武道初め

 多摩区内で今年2月から3月にかけて、キャッシュカードを直接だまし取る手口の詐欺が多発している。区内で今年発生した「オレオレ詐欺」等の特殊詐欺10件のうち、7件が同手口(3月25日時点)。被害総額は昨年比約340万円増の約2200万円に上り、多摩警察署では区民に注意を呼びかけている。

 「キャッシュカード交付型」と呼ばれるこの手口は、役所や警察などの公共機関の職員をかたり、カードをだまし取る。電話で「カードが悪用されています」「還付金を返金します」などと説明し、金融機関等を名乗る別の人物が直接自宅に訪問して、カードを提出させたり、すり替えたりするという。多摩警察署の山田隆副署長は「今まではコンビニや無人のATMへ誘導する手口が多かったが、取り締まりを強化したことで手口が変わってきた。短い時間の犯行で通報されるリスクが低く、バイト感覚の学生が犯行に関わっている場合もある」と説明する。

 神奈川県下の昨年の特殊詐欺被害は、過去最多の2314件、総額約53億4千万円。県全体でも「カード交付型」は増加傾向にあり、3月20日時点の特殊詐欺認知件数は368件。昨年同時期の126件に比べ、3倍近い被害となっている。

 多摩署管内の昨年の特殊詐欺被害は前年比9件増の36件。山田副署長は「被害の多かった昨年と同じようなペースで増えている。第一にカードを渡さない、暗証番号を教えないことが重要」と警鐘を鳴らす。

 通報や相談は多摩署【電話】044・922・0110。

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