鉱業協会、関口会長が就任会見、「非鉄安定供給と循環型社会構築で貢献」

 日本鉱業協会は、先月30日の定時総会で会長に関口明DOWAホールディングス上席執行役員副社長(6月に社長就任予定)、副会長に成井英一春日鉱山会長を選出した。就任会見で関口会長は「当業界が長年にわたり培ってきた技術と経験を生かし、非鉄金属の安定供給と循環型社会の構築という社会的使命を果たしながら日本の持続的な発展に貢献していくため、諸課題に全力で取り組む」と抱負を述べた。

 今年度の重要課題には「資源の安定確保」、「電力問題」、「リサイクルによる循環型社会の構築」、「人材確保と育成の強化」の4点を挙げた。資源の安定確保については、資源メジャーの寡占化や中国など新興国の国策的な資源獲得戦略、資源ナショナリズムの高まりなどで資源獲得競争が激化していることに加え、海外鉱山の権益取得や開発に必要な資金と時間が増大傾向にあることから「資源開発を取り巻く環境は厳しさを増している」と語り、「日本の安定的な資源確保に向けて長期的な視点に立ち、積極的な資源開発が展開できるよう、引き続き関係機関の機能強化・拡充や鉱業関連税制の恒久化・拡充など一層の支援強化を訴えていきたい」と述べた。

 人材確保・育成については「近年の資源系の中堅教員層の減少、資源分野への学生の関心の低下、少子化による学生そのものの減少など深刻な状況にある。次世代を担う大学生や大学院生を対象とした人材確保・育成の強化に向け、国や関係機関による支援を求めながら産官学が連携してさらなる努力を進めていきたい」と話した。

 また、電気自動車の世界的な普及加速に伴う資源の安定確保について問われると、「電装化の進展で銅需要の拡大が見込まれており、電池素材ではコバルトなどの確保が懸念されている。ただ、こうした資源確保は一朝一夕でできることではない。まずは各社が取り組んできた事業の延長線上で考えていくことになるだろうし、資源開発をより支援できるような仕組みを関係者と一緒に考えながら、国などに要望すべきことはしていきたい」と述べた。

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