新日鉄住金・新執行役員プロフィール

高橋望氏(北京事務所長)/たかはし・のぞむ/人事・秘書畑、初の海外駐在

 「せっかちな性格」と自己分析するが、仕事に向かうと、手を抜かず全力投球でチャレンジする。

 人事・秘書畑を一貫して歩いた。秘書グループリーダーだった2011年、旧住金との経営統合の発表にあたり、準備チームに参加。苦労も多かったが「得がたい経験になった」と振り返る。

 執行役員就任と同時に北京新日鉄住金の代表に就く。海外駐在は初めてだが「生の情報を社内に発信していきたい」。

 趣味は歴史研究。休日は古い街並みを散策する。座右の銘は、老子の「足るを知る」。

 85年(昭60)早大政経卒、新日鉄入社。東京都出身。55歳。

越川和弘氏(名古屋支店長)/こしかわ・かずひろ/逃げずにコツコツと

 大分、名古屋、広畑の3製鉄所で10年、薄板と電磁鋼板営業で18年を過ごし、日本鉄板へも3年の出向経験を持つ。常に逃げず、コツコツと、細部まで詰めることを心がけ取り組んできた。

 電磁はマネジャー時代に一貫最適化、部長として訴訟関連の業務を経験。製造、営業、研究が一体となって運営する「メーカーらしい醍醐味に触れることができた」と感謝する。昨年からは名古屋支店へ赴任。ものづくりの集積地で鉄の魅力を最大限PRしていく。

 都立三田高校では陸上部に所属、新日鉄住金エンジの鈴木隆顧問とは同僚。広畑時代に所内駅伝に出場し、昨年は鈴鹿サーキットを走る機会も。

 86年(昭61)慶大経卒。東京都出身、56歳。

大西利典氏(大阪支社副支社長)/おおにし・としのり/薄板育ち、プラス思考

 薄板営業が長い。新日鉄と住友金属の統合に伴う薄板最適生産体制の青写真も描き、「設備を止める辛さ、売る力の大事さが身に染みた」。30代半ばで当時の齊藤裕会長秘書を務めた際は「言葉の大切さも学んだ」そうだ。

 2000年から6年間の名古屋・薄板工程GL時代には数々の困難に直面しつつ「ツイてる、ツイてる、ありがとう」と前向き思考で周囲への感謝を大切にする姿勢を身に付けた。

 昨春から副支社長。「プロジェクト案件も多い。グループ総合力を発揮して売る力を強くする」

 中・高・大とバスケット部。現在はゴルフに力を入れている。

 86年(昭61)上智大法卒。愛媛県出身、55歳。

山中一馬氏(機材調達部長)/やまなか・かずま/優しい性格、人事・労政畑長い

 優しい性格。相手の話にじっくり耳を傾ける。物事の「ありのままを探求したい」と、常に一歩下がってみることを心がける。

 人事・労政畑が長い。人事グループリーダーだった2011年当時、グローバル人材の採用・育成が課題となるなか「新しい政策に取り組んだ」のが思い出深いと振り返る。

 昨年から機材調達部長を務める。「重要なステークホルダーである資機材の取引先との相互信頼関係をさらに深めたい」と抱負。

 趣味は旅行。「ドライブを兼ねて、歴史に触れる旅がしたい」

 86年(昭61)一橋大法卒、新日鉄入社。千葉県出身。54歳。

佐藤一郎氏(海外事業企画部長、CSVC、武漢ブリキプロジェクトリーダー)/さとう・いちろう/帰国子女、フェアが信条

 小学校時代をニューヨークで過ごした帰国子女で、英語に慣れ親しむと共に自ら考え、正々堂々とフェアに取り組む大切さを学んだ。新日本製鉄へ入社したのも「自分の考え方を大事にする先輩が多い」と引かれたのがきっかけに。

 掛長時代に新素材事業部で海外関連の仕事に関わり、以降は人事労政が長かった。15年にグローバル事業支援センターが発足すると野村泰介センター長と共に海外拠点を周り体制整備に尽力。翌年から海外事業企画部長を務める。

 役員となり2つのプロジェクトリーダーも委嘱された。「働く人々やパートナーのことも考え、貢献していきたい」。

 86年(昭61)慶大経卒。東京都出身、54歳。

新海一正氏(総務部長)/しんかい・かずまさ/夷険一節(いけんいっせつ)

 物腰が柔らかく、〝闘志〟は内に秘める。好きな言葉は「夷険一節(いけんいっせつ)」。どんな仕事にも真剣に向き合う。

 総務畑が長い。5年前に就いたブリキ営業部長は、入社26年目で初めての営業職。品質・デリバリーの重要さに加えて、海外事業のマネジメントの難しさを「体感できた3年間」と振り返る。

 高度化する企業の課題をどう克服するかが、執行役員としての役割と明確。進藤社長からは「思い切りやってくれ」と発破をかけられた。

 趣味は読書と散策。

 87年(昭62)東大法卒、新日鉄入社。東京都出身。55歳。

船越弘文氏(経営企画の業務で経営企画部長に協力)/ふなこし・ひろふみ/人事総務畑、率先垂範

 製鉄所勤務が広畑、名古屋、大分、八幡と4回。「広く製鉄所の現場で色々な経験ができたことが自分の財産」という。本社では人事制度の設計など人事部門や関連会社の業績管理、経営企画の仕事などに携わり、最近では新中期経営計画策定に取り組んだ。

 「モノには理由がある」と原理原則を大事にして考える。行動する時には急がば回れで、多くの人を良い形で取り込んでいく。仕事のスタイルは率先垂範。

 夫人、猫と暮らす。3人の息子はすでに就職した。愛妻家で休日は夫人との買い物や旅行、猫の世話も。旅行では寺社巡りが楽しみ。

 87年(昭62)東大法卒。長崎県出身、54歳。

藤田展弘氏(鉄鋼研究所長)/ふじた・のぶひろ/明朗、材料開発のプロ

 明朗、快活。仕事では平常心と向上心を心がけ、常に現場を重視する。

 新日鉄に入社後、研究畑ほぼ一筋。最初の10年は原子炉用などのステンレス開発、その後はほぼ一貫して車用ハイテン開発を手掛けた材料開発のプロだ。

 研究所を離れた直近6年間は名古屋製鉄所の副所長などを務め、製造現場の視点も養った。

 約300人の研究者を擁する鉄鋼研究所トップとして現場の力を最大限に引き出すと抱負。明るい雰囲気づくりを心掛け、激化する開発競争を強くしなやかに乗り切るつもりだ。

 趣味は旅行、ゴルフ。

 89年(平1)東工大院金属工学修。千葉県出身、53歳。

湊博之氏(技術総括部長)/みなと・ひろゆき/八幡育ち、現場主義

 八幡の設備部を皮切りに八幡と本社(技術総括)を2往復し本社勤務は3度目。若手技術者時代から原理原則に基づくことや現場の本質を見極めることの大事さを学んできた。

 「現場の最前線や管理者と一体で安定生産、安定供給を守る」とともに副産物の活用を含めて「『全社ベスト・一貫最適重視』の視点で10年、20年先の製鉄プロセス再構築の基盤作り」に取り組む。「最新技術に興味津々で、貪欲に吸収する技術者の育成も強化したい」。

 休日は街や山で散策を楽しむ。座右の銘は「百折不撓」。藤沢周平や浅田次郎の歴史物が好き。

 89年(平1)熊本大院金属工学科修了。大分県出身、53歳。

里嘉郎氏(建材事業部長)/さと・よしお/建材のエキスパート

 これまでほぼ一貫して建材畑を歩む。建材事業部長として「当面は恵まれた環境にあるが、厳しい時代に備え今できることをしっかりやっていく」と抱負。

 建材事業は「物件ごとの仕事が多く、若い頃から価格交渉など全てを任され充実感が大きかった」と振り返る。今後は国内の鋼構造化を進めながら「海外で鉄の良さ、鋼構造のメリットをPRし需要を創出したい」。

 手先が器用で日曜大工や料理、散髪まで自分で行うほど。読書は『鬼平犯科帳』が「ピッタリくる」とか。信条は『マーケット第一』。

 88年(昭63)神戸大経済学部経済学科卒、住友金属工業入社。兵庫県出身、53歳。

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