テスラ「破産」とツイッターに書き込んだCEO

By 太田清

ファルコンヘビーの試験打ち上げ成功を受け、記者会見するスペースXのイーロン・マスクCEO=2月6日、米フロリダ州(ロイター=共同)

  米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、自身のツイッターで「テスラが破産した」ことを明らかにした。本当であれば大ニュースだが、投稿したのは4月1日。エイプリルフールの「冗談」だった。 

マスク氏は「イースターエッグの死にものぐるいの大量販売を含む、激しい資金調達の努力にもかかわらず、テスラが完全に、全面的に破産したという悲しい報告をしなくてはなりません」と説明。「破産」と書かれた段ボールの後ろで、車にもたれかかり、意識を失ったかのような状態で写された自身の写真をアップし「イーロンはテスラのモデル3を前に、気を失っているのが見つかった」とも書き込んだ。 

 モデル3は同社が昨年7月に納車を開始した新型セダンで、多くの受注を得たものの生産が当初予定より大幅に遅れ、同社の経営不振と資金繰り悪化の大きな原因となっている。 

 マスク氏は宇宙ベンチャーのスペースXのCEOも務め、スペースXは2月6日には現役ロケットで世界最強の打ち上げ能力を持つ大型ロケット「ファルコンヘビー」の試験機を、米南部フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げた。衛星の代わりにマスク氏の所有する真っ赤なスポーツカーを宇宙に運ぶなどの〝パフォーマンス〟で驚かせたが、本業のEV製造では苦戦。2017年7~9月期決算は、純損益が6億1937万ドル(約660億円)の大赤字となった。ロイター通信によると、四半期決算で過去最大の赤字額。 

 最近では、米西部カリフォルニア州の高速道路で、テスラの乗用車による死亡事故があり、米運輸安全委員会(NTSB)が調査を開始。車は、自動運転に準じた半自動の「オートパイロット」機能を備えていた。

 こうした中、自らをネタに「破産した」「気を失った」とツイートできるというのは、さすが起業家精神に富んだ米国の経営者という感じがするが、ツイートには早速「テスラのような上場企業のCEOがこのようなツイートをすべきではない。株主のためにすべきことに集中して欲しい」とのコメントも寄せられた。果たしてテスラは現在の苦境を克服できるのだろうか。 (共同通信=太田清)

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