6シーズン目の86/BRZが開幕。鈴鹿で織戸学がひさびさの勝利

 2018年のGAZOO Racing 86/BRZレースは鈴鹿サーキットで幕を開け、プロフェッショナルシリーズは予選5番手だった織戸学(サミー☆K-one☆MAX86)が優勝。そして、クラブマンシリーズではディフェンディングチャンピオンの神谷裕幸(ネッツ中部GRGミッドレス86)がポール・トゥ・ウインを達成した。

 6シーズン目を迎えたGR 86/BRZレースは初めて鈴鹿サーキットを舞台に、開幕戦が行われることになった。プロフェッショナルシリーズは34台、クラブマンシリーズは79台のエントリーを集め、相変わらず衰えのない賑わいを示したものの、そのパドックでは騒動も……。

 まず、プロフェッショナルシリーズでは、あるメーカーのタイヤが溝のサイズ不足を指摘されて使用できなくなったほか、両シリーズとも原因不明の“ガス欠状態”が頻発。詳細は不明ながら、サーキットが今までとは違う雰囲気に包まれていたのは事実である。

 プロフェッショナルシリーズの予選で、ポールポジションを獲得したのは阪口良平(大阪トヨタ86レーシングBS)。2分30秒739と、ひとり2分31秒台を切ってレコードタイムも更新した。「スリップも使えて、それまでいい走りができていたのに、実はシケインで引っかかってロスしているんですよ。それでもポールですから、いいクルマを作ってくれたチームに感謝しています」と阪口。

 これに続いたのは、昨年はFIA-F4をメインに戦い、86/BRZレースにはスポットで参戦していた菅沼冬悟(OTG DL 86)で、3番手は大西隆生(オートバックスG7 86ポテンザ)、4番手は蒲生尚弥(tomicaネッツ兵庫86BS)が獲得。

 迎えた決勝では菅沼が好スタートを切ってトップに立つも、阪口はピタリと背後に。その後ろにつけていたのは予選5番手だった織戸学(サミー☆K-one☆MAX86)で、2ポジションアップに成功する。予選の勢いそのままの阪口が、すぐに菅沼に襲いかかるであろうことは誰の目にも明らかだった。

織戸学(サミー☆K-one☆MAX86)

 しかし、そんな熱い想いが裏目に出てしまう。シケインで勝負をかけるも、ガードを固められてダートに足を落とし、6番手に後退。そして、その脇をするりとすり抜けてトップに立ったのが織戸だった。

「まず、いいスタートが切れて、前で良平たちが“ワサワサ”やっていたから、これは何か起こるぞ、と。そしたらシケインで案の定(交錯した)。(アクシデントに)絡まなくて良かった」と織戸。それでも逃げ切るまでには至らず、真後ろには菅沼がピタリと続き、さらに蒲生、阪口も加わり激しくトップを競い合う。

織戸学(サミー☆K-one☆MAX86)

 しかし、隙を一切見せなかった織戸は最後までトップを守り抜き、ひさびさの優勝を飾ることとなった。「やっと鈴鹿で勝てた。サミーとK-oneさんに感謝だね。今回はいろんなことがあったけど、気持ちで勝てた」と織戸。

 一方、菅沼は初の表彰台獲得となったが、その表情は悔しげ。それでも「オフの間に先輩方に教えてもらったことを、しっかり実践できるようになりましたから、これからの僕には期待してもらっていいです」と強く宣言した。3位は蒲生が獲得し、8周目のシケインで阪口をかわしていた、久保凛太郎(CG ROBOT BRZ BS)が予選11番手から追い上げて4位を獲得している。

 クラブマンシリーズではゼッケン0をつけたディフェンディングチャンピオン、神谷がアタック中の赤旗で、タイヤのおいしいところを失いながらもポールポジションを獲得。「最初のアタックが決まっていれば、プロシリーズでも通用するようなタイムが出ていたでしょうから残念ですが、決勝レースでスタートを決めて、早々と逃げちゃえば、その分スッキリするでしょう」とふり返る。

 実際、神谷はスタートを決め、後方で松田利之(ACCESS 86)と水谷大介(ネッツ東京レーシング86)が激しくやり合う間に、オープニングの1周だけで2秒半もの差をつけてしまう。一方、水谷はシケインでようやく前に出るも、トップは次の周、さらに差を広げていた。これで宣言どおり神谷のひとり舞台になるかと思われたのだが、4周目の1コーナーでオーバーラン! オイルに足を取られてしまったのが原因だ。

神谷裕幸(ネッツ中部GRGミッドレス86)

 これで水谷が期せずしてトップに浮上。だが、速攻でコースに戻った神谷が食らいついて離れない。次の周の1コーナーで「水谷くんはオイルを気にしたんでしょう。アウトから行ったけど、僕は(オイルを)うまく避けてインから抜くことができました」と神谷。その後も激しいバトルが繰り広げられることを期待したものの、シケインで停止車両があり、セーフティカーが導入されてしまう。そのままチェッカーが振られてしまい、「消化不良」と苦笑したのは、水谷だけではあるまい。いずれにせよ神谷が逃げ切り、連覇に向けて幸先のいいスタートを切った。

クラブマンシリーズ 表彰台

 3位は予選5番手から、じわりじわりと順位を上げていた中島佑弥(GB CAMP 86 YH)が獲得。また元プロ野球選手の山崎武司(OTG TN滋賀86)は決勝Bレースに参戦し、3位でチェッカーを受けている。

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