『ミスミソウ』 スプラッター全開、笑える青春ホラー

(C)押切蓮介/双葉社 (C)2017「ミスミソウ」製作委員会

 原作は、“ホラー・ギャグ漫画”というジャンルを開拓したと言われている押切蓮介の同名作品。そもそもホラーとコメディーは紙一重だとよく言われるが、この映画版もスプラッター要素が全開で、かなり笑える。否、ツッコミどころは満載ながら、ここまでくると逆に痛快ですらある。

 舞台は、雪に覆われた過疎の町。東京から転校してきたヒロインは、壮絶ないじめに遭い、同じ転校生の男子を心の支えに卒業までの数カ月を何とかやり過ごそうとしていた。ところが、両親が火事で焼死し、妹も大火傷を負って危篤に。それがいじめっ子グループによる放火だと知り、次々と復讐を遂げていくという話だ。青春要素がそれなりに高い分、ホラー=スプラッターとの落差、凄惨さが際立つ。

 監督は、『先生を流産させる会』『ライチ☆光クラブ』の内藤瑛亮。ティーンによる犯罪劇をスタイリッシュに映像化する手腕には定評がある。今回も血の赤と雪の白さを対比させた鮮やかな画面設計(ロケ地選びがうまい!)と、切れ味鋭い殺傷シーンのアクションにその真価が発揮されている。ホラーをコメディーにする術も心得ている。

 それにしても、小さな田舎町なのに、マトモな人間はほとんど(全く?)出てこない。登場人物が全員どこかヘンなのは、“人は誰しも心の奥に狂気を抱えている”というメッセージだろうか? ★★★★☆(外山真也)

監督:内藤瑛亮

原作:押切蓮介

出演:山田杏奈、清水尋也

4月7日(土)から全国公開

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