横須賀中央エリア 開発事業に一定のルール 地元関係者が指針策定 横須賀市

現在、開発検討が進んでいる若松町1丁目地区

 商業施設併設のマンション建設計画などが進む横須賀中央エリアで、市民らのまちづくりへの意見をまとめたガイドラインが完成した。景観や居心地の良さなどへの配慮を促すもので今後、開発事業者へ理解を求めていく。

 ガイドラインは、2012年に中央エリアの建築容積率の上限が800%に引き上げられ、規制緩和されたことで高層建築物が乱立し、商業地としての価値や景観が損なわれる可能性を危惧して協議が始まった。14年に一般市民を含む14人のメンバーで組織された「横須賀中央エリアまちづくり検討会議」によって3年以上、27回の会議で海老名駅前や戸越銀座といった他都市再開発事例の比較、意見集約などを重ねてきた。項目として建物へ植栽を積極的に取り入れることや歩行者に圧迫感を与えない壁面のデザインにすること、建物低層部への商業・飲食といった非住宅用途スペースを誘致することなどが挙げられている。

実効性が焦点

 一方でこのガイドラインは法的拘束力を持たず、どこまで実効性を持たせられるかがポイントになる。現在市内で、地表面から高さが10m、延べ面積1000平方メートル以上などの条件を越える建設計画に対して、市と開発事業者の間で市景観計画に沿うよう調整が必要となる。検討会議事務局の市街地整備景観課によるとガイドラインは今後、両者で行う調整の中で、地元からの要望として事業者へ提示。計画に少しでも多くの要望を取り入れられるよう、市から丁寧に説明を行っていくという。また、ガイドライン作成中も同検討会メンバーらが警察署とパシオス跡地にそれぞれ建設中のマンション2棟へ交渉し、歩行者への圧迫感を減らすための壁面位置後退や緑地の増加を約束してきた。

進む再開発計画

 地元経済活性化や賑わい創出を目的に「まちなか居住」を進めている同エリアでは15年、大滝町2丁目に商業テナントと住居一体の複合型高層タワー「ザ・タワー横須賀」が完成。現時点での再開発に向けた組織を立ち上げている地区は大滝町1丁目や三笠ビル、横須賀中央駅前など6カ所ある。その中で「ザ・プライム」を含む若松町1丁目地区は昨年9月に「協議会」から「準備組合」へと名称を改め、協議を1段階前進させている。

 同検討会議座長の上田滋さんは「ガイドライン完成は新たなまちづくりのスタート。関わる全ての人の応援団として、今後も検討会議を機能させていきたい」と話した。

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