長崎原爆の後遺症に苦しみながら詩作を通じて反核と平和を訴えた被爆詩人、故福田須磨子さん(1922~74年)の命日の2日、長崎市平野町の福田須磨子詩碑前で集いがあり、被爆者や高校生ら約40人が故人をしのんだ。
「新しき年の始めにしみじみとわが生命愛しむ」。被爆後の苦痛の中で生きる喜びを表現した詩「生命を愛しむ」が詩碑には刻まれている。長崎市出身の福田さんは23歳の時に爆心地から1・8キロの長崎師範学校(現文教町)で被爆。原爆の後遺症に悩まされながら詩作を続けた。
集いは長崎の証言の会などが毎年開き、今年で43回目。同会の被爆者、森口正彦さん(79)はあいさつで、被爆国でありながら核兵器禁止条約に署名しない日本政府を批判し「こんな状況になるとは福田須磨子は夢にも考えなかっただろう」と訴えた。
参加者が詩碑前で献花し、活水高の生徒3人は被爆で変質した手の惨めさをうたった詩「私の手」など3編を披露。同会代表委員の内田伯(つかさ)さん(88)は「『生命を愛しむ』という福田須磨子の生きざまを私たちが継いでいくべきだ」と述べた。
生命を愛しむ 受け継ぐ 被爆詩人 福田須磨子さんしのぶ集い
- Published
- 2018/04/03 10:13 (JST)
- Updated
- 2018/12/10 14:39 (JST)
© 株式会社長崎新聞社