<隠れた名盤> シーナ&ロケッツ『ゴールデン☆ベスト EARLY ROKKETS 40+1』 シーナの着飾らないボーカル、洗練された英語の台詞

シーナ&ロケッツ『ゴールデン☆ベスト EARLY ROCKETS 40+1』

 デビュー40周年を記念し、鮎川誠自身が選曲した2枚組ベストが、ソニーとビクターからそれぞれ発売。ここでは、初期アルファ時代のソニー盤を紹介したい。ちなみに鮎川は2018年4月現在69歳、まさにロック!

 全41曲通して聴くと、CMからヒットした『YOU MAY DREAM』でさえ、シーナの着飾らないボーカルが後年の女子バンドに影響を与えたことや、英語の台詞部分が歌謡曲全盛時代とは思えぬほど洗練されていることを再認識。しかも、曲調がハードになると、歌声もより挑発的になるなど現代のロック系シンガーに比べて多彩だ。

 disc2の後半には、よりクールでロック色の強い鮎川と、ポップなYMOサウンドでよりキュートなシーナの各ソロ楽曲も多数収録。ラスト収録のバンドによる『オールド・ファッションド・ラブソング』まで、どの活動形態でも、どんな曲調でも“ラブ&ピース”を掲げてきたことが感慨深い。

 博多弁で語る鮎川のインタビュー記事も味がある。本作を聴けば、生身の人間だからこそ出来ることをより意識するはず。

(ソニー・3000円+税)=臼井孝

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