茨城スチールセンター、11億円投じ能力増強 「冷間鍛造成形」と「厚物加工」、車向け部材の受注増に対応

 伊藤忠丸紅鉄鋼系列の茨城スチールセンター(本社・茨城県那珂市向山、社長・村田寛和氏)は、金属プレス加工部門における冷間鍛造成形能力増強と加工部材の厚物対応力強化を主眼に大型設備を導入し、それに伴って構内レイアウトを大幅に変更する。その一環で近接地に新たな事業用地も確保した。投資総額は約11億円規模。自動車部品向け加工品の受注増と厚物化ニーズに応える。

 今年秋からの操業開始をめどに、加圧能力2千トンの大型成形加工プレスを増設。既存の2千トンプレスと合わせて2台体制とする。

 加えて最大板厚25ミリまで切断可能な大型厚物シャーの新設も決めた。冷間成形プレスの前工程で素材の一次加工(シャー剪断)を行うが、現在は量産ベースで板厚13ミリ強まで。ただ、主要顧客からは16~18ミリ厚の要望が出ており、既存の自動シャーでは対応しきれない。厚物加工領域を広げるため、素材搬入装置付きシャーを導入し、2019年の年明けからの稼働を目指す。

 これら大型設備の設置に伴い、既存の小切り用オートシャーを構内移設するほか、NCガス溶断ラインの一部をレール撤去し、25ミリシャーの設置スペースを確保する。

 さらには門型レーザ切断機2台が共載するレーザ加工定盤を、昨年3月に取得した「第二事業所」に移設することに決めた。

 第二事業所(那珂市向山、敷地4400平方メートル強、工場建屋936平方メートル)は、本社工場に面した国道6号線を挟んで至便なロケーションに立地。現在、レーザ定盤の設置工事を進めており、5月大型連休明けにも「レーザ加工専用棟」として稼働を開始する予定だ。

 同社は自動車の重要部品向け金属プレス加工と重電および産機・建機向け厚板溶断加工が事業の2本柱。

 金属プレス部門では、ローターコアやプーリーといった自動車用部品を、シャー切断から打ち抜き(ブランキング)した後、高周波部分焼鈍―ショット―ボンデ(潤滑被膜)処理し、最後は冷間鍛造成形プレスで一体成型するまで一貫加工している。

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