韓国ポスコ、水酸化リチウム生産ライン稼働 年1500トン、EV用バッテリー向け

 韓国ポスコはこのほど、光陽製鉄所内で国内初となる年産1500トン規模の水酸化リチウムの生産ラインを竣工し、今月から生産を始めた、と発表した。同ラインは廃二次電池で回収したリン酸リチウムを水酸化リチウムにする。リチウム回収率は80%以上で経済性が高く、さらに製造過程で固形廃棄物が発生しない。また、不純物の含有量も競合他社製品に比べて「3分の1の水準」になる。

 ポスコによると、炭酸リチウムはノートパソコンや携帯電話のバッテリー素材などに使われる一方、水酸化リチウムは電気自動車(EV)用バッテリーに主に使用され、工程管理が難しいという。

 今後は認証手続きを経て、LG化学や三星SDIなどの国内外バッテリーメーカーに販売する。韓国は、高品位水酸化リチウムは全量を輸入に依存しているが、これを国産化することで、ポスコは国内リチウム二次電池産業の競争力を高めたい考え。権五俊会長は「リチウムはポスコの重要な新成長動力であり、過去8年間の努力で商業化の初期段階まできた」とし「リチウムだけでなく、国内で供給していない素材について、ポスコが責任を負うという使命感で国産化に力を尽くす」と話している。

 ポスコは2010年にリチウム直接抽出技術を開発。昨年2月からは光陽製鉄所のPosLX工場内で炭酸リチウムの生産を始めており、今回水酸化リチウムの生産ラインが稼働したことで、リチウム年産能力は2500トンとなった。

 現在、ポスコは廃二次電池を利用し、炭酸・水酸化リチウムを生産しているが、安定供給のため、リチウム鉱石でも製造できる設備を年内にも追加で設置する。また、塩湖の確保も推進しており、塩水・廃二次電池・リチウム鉱石といったあらゆる原材料から生産が可能となるリチウム工場を目指していく。

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