【きらり光るウーマンパワー】〈茨城スチールセンター〉冷間鍛造成形加工品全数検査 不良品出荷を食い止める4人の「なでしこ」

 茨城スチールセンター(那珂市向山、社長・村田寛和氏)では、ローターコアやプーリーといった自動車用重要部品の冷間鍛造成形プレス加工を手掛けているが、主要顧客である自動車部品メーカー大手からは成形加工品の全数検査が義務づけられている。

 本社工場構内の一角に「全数検査場」を設置。ここでは専任オペレータが4人体制で冷間鍛造成形品をひとつひとつ目視検査し、万一の不良品の出荷を水際で食い止めている。

 全数検査を開始して丸1年。その間に検査精度は格段に向上し、作業時間も飛躍的に速くなったという。

 検査に携わる専任オペレータは全員女性。製造部に所属する4人のスタッフだが、1年前は皆、近所に住む主婦だというから驚きだ。客先から全数検査を要請され、急遽募集して集まった、いわば素人集団からのスタートだった。

 金属加工部品を見るのも触れるのも初めて。不良カ所チェックと言ってもパッと見では玄人でも見分けがつかないほど小さくて細かい。キズや汚れと気づくにも、最初は1分以上かかっていたという。

 しかし、1年かけてめきめきと腕を上げ、今では1個当たり15秒もあれば正確に見分けられるほど上達。女性ならではの繊細さ、作業の丁寧さ、根気と集中力の高さに村田社長も太鼓判を押す。

 検査場には測定用プレートも導入。彼女たちが選別した不良予備品をコンピュータ計測し、客先と取り決めたキズ具合の合否ラインに基づき良品と不良品とを選別することで、必要以上の歩留り低下を抑えつつ、不良品の出荷を防いでいる。

 女性の技量を工場で活用し、成果を発揮した好例のひとつ。さながら「茨スチの検査なでしこ」たちは、きょうも〝現場の華〟として金属プレス加工部門の一端を支えている。

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