切磋琢磨し日本一を 東海準決敗退、慶応初戦敗退 夏へ収穫

 第90回選抜高校野球大会は4日、大阪桐蔭の2年連続3度目の優勝で閉幕した。4年ぶりに出場した神奈川勢は、東海大相模が準決勝で涙をのみ、慶応は初戦敗退に終わった。悔しさを胸に聖地を去った両校ナインだが、夏の100回大会に向けた収穫も多かった。

 2011年大会以来の優勝を狙った東海大相模は4強入り。選手全員が初めて甲子園でプレーしたが投攻守に隙を見せず、福島・聖光学院、静岡、日本航空石川と、昨秋の各地区大会の王者をはねのけていった。

 智弁和歌山との準決勝は死闘だった。延長戦までもつれ込み、惜しくも10−12で競り負け。要所で守備のミスが出て失点した東海大相模に対し、相手は3失策の守備にも影響されずにバットを振り続けた。加えてスタンドの大声援も味方に付けた勢いに屈した形となった。

 門馬敬治監督(48)が今大会で掲げていたテーマの一つが「無理をしない」だった。「本番で無理をせず普通にできるよう、練習を全力でやる」と、試合前日であっても練習量を落とさず、いつも全力プレーでチームの「普通」のレベルを極限まで高めた。

 切り込み隊長の主将小松は3試合で初回に安打を放ち、準々決勝では先頭打者アーチ。遊撃の守備も鉄壁で、主将としてチームに勇気を与えた。打線は6番後藤が初戦で2長打3打点。1次登録でメンバー外だった7番渡辺は今大会2本塁打と下位が奮起した。

 昨秋、死球を受けて右手甲を骨折したエース斎藤が半年ぶりに公式戦のマウンドに立ち全4試合で登板。計10失点したが、挫折をばねに夏はさらなる進化を遂げるはずだ。2年生野口は3試合で先発。落差の大きいカーブで球場を沸かせたサウスポーは、今後も大きな戦力となるだろう。

 「うちはチーム力で勝ってきたが、強いチームにはタレントがいる。その差が出た」と長谷川将也部長(29)。春連覇を果たした大阪桐蔭は根尾やエース柿木らスターぞろい。準決勝で打ち込まれた右腕斎藤、今大会は打率2割台だった主砲森下はもちろん、チーム全体の底上げを図りたい。

      ○ エース白村明弘(日本ハム)を擁して以来、9年ぶりに選抜大会に挑んだ慶応は、滋賀・彦根東との初戦で3−4の惜敗。好投手増居の伸びのある直球を攻略できず、就任3年目の森林貴彦監督(44)は甲子園初白星を飾れなかった。

 7日からは南北開催となる夏の神奈川大会のシード校が決まる春季県大会が開幕する。激戦区神奈川で両雄が切磋琢磨(せっさたくま)し、夏こそ日本一を手にしてほしい。

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