諫干和解勧告「受け入れ」 国側回答、開門派は拒否

 国営諫早湾干拓事業を巡り、2010年の開門確定判決を履行せず制裁金を科された国が開門を強制しないよう求めた請求異議訴訟控訴審で、国は4日、「開門せずに漁業振興基金で解決を図る」とした福岡高裁の和解勧告を受け入れる回答書を同高裁に提出した。開門派は、開門しない前提の基金を拒否する回答書を既に提出。双方の見解が対立する中、同高裁は10日の和解協議で今後の方向性を示すとみられる。
 同高裁は3月5日の和解勧告で、国と開門派に今月4日までの回答を求めた。開門派は3月19日に提出した回答書で、開門を含めた和解協議を求めたが、同高裁が開門に否定的な見解を示しているため、今月10日の和解協議に出席しない方針。
 同高裁は回答を受け、来月末にかけて3回の和解協議を設定したが、和解成立の見通しは厳しく、7月30日に判決が言い渡される可能性が高い。農林水産省の担当者は取材に対し、「一般論として一方が拒否したからすぐに決裂という訳ではなく、当面、和解協議が継続される可能性はある」と述べた。
 一方、営農者が国に開門差し止めを求めた訴訟で、開門派が「独立当事者」参加を却下した3月19日の福岡高裁判決を不服として、最高裁に上告した。同28日付。

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