【MLB】大谷翔平に痛恨の同点2ラン被弾 好投のCY賞右腕が悔やむ一球「唯一の失投」

インディアンス・クルーバー(左)から本塁打を放った大谷【写真:西山和明】

大谷に同点2ラン被弾、サイ・ヤング賞右腕クルーバーが悔やむ一球

 エンゼルスの大谷翔平が4日(日本時間5日)、本拠地インディアンス戦で「8番・DH」で2戦連続スタメン出場し、2戦連続のマルチ安打を放った。第2打席で2戦連発となる同点2ランを放った相手はサイ・ヤング賞右腕のコーリー・クルーバー投手。昨季最優秀防御率も獲得したメジャー屈指の右腕は「唯一の失投」と悔やんだ。

 大谷伝説にまた新たな勲章が加わった。相手先発の2014年と昨季の2度、サイ・ヤング賞投手から値千金の本塁打を放った。

 ここ4年で3度18勝を挙げている相手クルーバーに対し、大谷は0-1と1点を追う3回の第1打席で見逃し三振に倒れていた。だが、第2打席にそのバットが火を噴いた。0-2と2点ビハインドの5回2死二塁で迎えた場面。セーフティーバントの1安打に抑えていた右腕はカウント1-1から投じた92マイル(約148キロ)のファストボールが甘いコースに入った。

 大谷はこれを見逃さなかった。バットを強振するとセンターに大飛球。スタンドに同点弾が突き刺さった。

痛恨の一球「ミスを犯してしまった」

「試合のほとんどで狙い通りの投球ができた。一球だけミスを犯してしまったが、それ以外は素晴らしかった」

 試合後のロッカールーム。クルーバーは悔しさを押し殺すような様子で語った。7回を投げて、被安打はわずか3。6奪三振で2失点。大谷への一球さえなければ無失点で抑えられる可能性もあった。

 3回の第1打席では外角の厳しいコースのフォーシームで見逃し三振に奪っていたクルーバーは同じコースを狙ったという。

「最初の打席と同じ狙いだった。フォーシームを外角に投げたけれど、内側に入ってああいう結果になってしまった。フォーシームをもっと外に投げたかった」

 開幕前のオープン戦では打者大谷と2打席対戦。1打席目はつま先をかすめる死球を与えたが、2打席目はバットをへし折り、二飛に抑えていた。だが、この日は全米注目の二刀流相手に、いつもの精密機械のような制球に乱れが出た。気負いはあったのだろうか。

深く刻まれた「オオタニ」の名、「まだ結論は出せない」

「トラウトにだって騒ぎになっているし、プホルスだってそうだ。彼(大谷)だけじゃないよ。でもいい打線だね。自分はメジャーの打者相手に失投してしまった。彼はそれを生かしたんだ」とクルーバーは語った。前日に3ランを放っていた大谷を一人前のメジャーリーガーとして認めていた。

 一方でオープン戦との違いにも気付いていたという。「2打席だけだからね。でも、足の振りが小さくなっていたね」。オープン戦の最後にすり足打法に変え、手元で動くメジャーの速球に対応する道を選んだ大谷。その改良の成果は2試合連続のマルチ安打という成果につながった。

「オープン戦で2打席、今日2打席だから、まだ結論は出せないよ」

 クルーバーはこの時点での「打者・大谷」の評価について明言を避けた。2度サイ・ヤング賞に輝いた名投手の心に「Shohei Ohtani」の名前は深く刻まれることになった。

(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

© 株式会社Creative2