12球団で最も遅い白星 中日新助っ人左腕が見せた気迫「全身全霊で」

中日のオネルキ・ガルシア【写真:荒川祐史】

中日の連敗を止めた新助っ人ガルシア「全身全霊で力を込めて投げた」

 開幕から4連敗。先発投手が軒並み崩れる苦しいスタートとなった中日を新助っ人が救った。オネルキ・ガルシア投手、28歳。頭部のセンターだけを金髪にしたモヒカンという奇抜な髪型の左腕が、12球団で最も遅い白星をドラゴンズにもたらした。

「ボール先行がたくさんあって、自分の中ではとにかく1人1人集中して抑えていこうと思っていたよ。今日はコントロールがいいわけではなかった。外角のコーナーに投げて誤魔化すことが出来た」

 6回途中まで巨人打線をほぼ完璧に封じ込めた。初回を3者凡退に仕留めて立ち上がると、2回、3回にはそれぞれ2つの四球を出しながらも得点は許さず。6回1死まで巨人打線をノーヒットに抑える上々の投球だった。坂本に中前へこの日の初安打を許すと、盗塁とマギーの右前適時打で1点を失ったが、失点はこれだけ。続く岡本を二ゴロに仕留め。6回2安打1失点でマウンドを降りた。

 実に5つの四球を与え、走者を出しながらも粘りの投球を見せた左腕。「四球を出した時も落ち着けていたのが良かった。四球を出すと慌てる時があるんだけど、今日はコントロール出来たのが良かったね」。今季、チームの先発で初めてクオリティースタート(6回以上を自責3以内)を達成。リリーフ陣がリードを守り抜き、勝利投手となった。

執念の適時内野安打「全力で走った」

「開幕してから悪い流れだったので、なんとかチームの悪い流れを、連敗を止められるようにと思って投げたよ」と振り返ったガルシア。左腕の執念はマウンドだけでなく、攻撃面でも表れ、それが勝利に繋がった。

 1点リードで迎えた4回だった。先頭の福田永将が中堅フェンス直撃の二塁打で出塁。その後2死一、三塁で左腕に打席が回ってきた。2ストライクと追い込まれてからの3球目。巨人先発の吉川光夫が投じた真っ直ぐに、打球はボテボテのゴロとなった。一塁へと全力疾走のガルシア。際どいタイミングで塁審の判定はアウトだった。だが、森繁和監督がリクエストを要求。リプレー検証の末に判定は覆り、適時内野安打となった。

「投手が取らなければどうにかなると全力で走ったよ。サードが油断していたかもしれないね」。来日初登板初先発で初勝利を挙げ、さらには初安打初打点もマークしたガルシア。「ヒットを打ったのも、勝利できたのも嬉しいけど、チームが勝って良かった」と喜んだ。

「プロになってから初めてのヒットだと思うね」と笑顔で語り、喜んでいた左腕。実際にはロッキーズ傘下時代の2013年にマイナーで9打数3安打、打率.333をマークしていたが、そこはご愛嬌。初のお立ち台に立ち「とても満足している。最初のゲームで勝つことが出来て本当に嬉しい。チームの流れが悪かったので、全身全霊で力を込めて投げたよ」と語ったガルシアは、間違いなく中日に初勝利をもたらした立役者だった。

(Full-Count編集部)

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