相馬市の非常時用燃料電池、豊田通商が受注 災害時にも電力を安定供給

 豊田通商は5日、「相馬市再生スマートコミュニティ構築事業」向けの非常用電力供給設備となる燃料電池を受注・供給した、と発表した。日本国内で販売権を持つバラッド社の水素燃料電池で、避難所付近に設置し、災害時などに電力を安定供給する。出力規模は国内最大級となる25キロワット。

 スマートコミュニティは、再生可能エネルギーや、蓄電池などを用いて地域のエネルギー需給をマネジメントし、交通、医療・介護、行政などの社会システムをスマート化する取り組み。現在、各地域の特徴にあった実証試験を行っている。

 相馬市の再生スマートコミュニティ構築事業では、太陽光発電の余剰電力から水素を貯蔵。非常時に直接水素型燃料電池を使用して電気をつくる。これにより、災害時でも電力の安定供給が可能になる。

 燃料電池を使うことにより必要なときに発電し、その電気を近隣地域で使用でき、送電ロスも大きく減る。また、大規模停電への対応力が高いなどのメリットがある。

 相馬市では、非常用電源として避難所の照明、携帯の充電器などへの電気供給を行うことにしている。

 同社では、今回の受注を機に保有する多様な燃料電池のラインアップを活用し、定置式燃料電池を拡販するとともに、運輸業を中心とした燃料電池の用途拡大に取り組む考え。

© 株式会社鉄鋼新聞社