17年度寒川町ふるさと納税15億円 旅行券で前年度の149倍

 自治体に寄付すると住民税などが控除される「ふるさと納税」制度で、寒川町への2017年度の寄付額が前年度の149倍となる約15億円と見込まれていることが5日、分かった。ほぼ全額が今年3月に期間限定で返礼品に加えた旅行券によるもの。総務省は昨年4月の通知で商品券などの自粛を要請しており、町は「町の認知度向上を狙ったが、モラルの点で、いささか行き過ぎた」などとしている。

 町は、10万円、30万円、50万円、100万円の寄付に対する返礼品として、それぞれ寄付額の5割に当たる旅行券を用意。3月1~21日の期間限定で受け付けを開始した。インターネット上で話題となり寄付者が殺到したのを受け、27~30日にも追加で受け付け。計25日間で7341件の申し込みがあり、17年度の寄付総額の9割以上を占める見込みという。

 町は15年10月にふるさと納税制度を導入。寄付額は15年度が約850万円、16年度は約1030万円だった。16年度まで返礼品は町の特産品や地場産品などをメインとしていたが、今年2月に町のブランドスローガンを発表したことなどから「PR施策が必要」として、町外から観光客を呼び込むために旅行券を返礼品に加えたという。

 制度を巡っては、返礼品の過熱競争が問題化。総務省は昨年4月の通知で、調達費用が3割を超える高額な品物や金銭類似性の高い商品券、資産性の高い電化製品などの自粛を全国の自治体に要請した。

 ただ、通知に拘束力はなく、昨年4月の総務省の要請後も寄付額の3割を超える返礼品は続いている。このため、総務省は今年4月1日付で返礼品を地元産品に限るよう通知した。

 町は、寄付額の5割となる旅行券を返礼品としたことについて「他自治体でも同様の事例があり、町の認知度向上を主眼に考えて決めた」と説明。一方で「金集めだと受け止められる可能性もあり、モラルという点でいささか行き過ぎたようにも思う。今後は自粛し、新たな返礼品を検討したい」と話した。

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