隣の外国人

 市役所に転入届を出しに行って、外国人の若者グループの次に並んだ。にぎやかに語らっていた彼らは、聞けば横浜から転入したフィリピン人で、この春から長崎の企業で働くとのこと▲帰りの路面電車に、親子連れの中国人観光客が乗り込んできた。幼い子ども2人を見とめるや、そばの乗客がさっと席を譲った。並んで座った小さな2人の無邪気な笑顔が印象的▲県の統計によると、2017年1月現在の外国人住民人口は1万1137人。10年前のおよそ1・5倍に増えている。16年の外国人宿泊客の実数は50万9888人で、これも10年前のおよそ1・5倍。外国人は昔よりずいぶん身近な存在になった▲外国人の存在は、地域に刺激をもたらす。「お金を落とす」という経済効果はもちろんのこと、異文化をまとった人は地域に新しい風を吹かせ、なじみきった常識を別の角度から照らし出す視点をくれる▲地域の側は、隣の外国人をどう受け入れるかが問われる。違いを否定せず、上手に折り合いを付けていくのが、グローバル化時代の心得だろう▲市の転入窓口では、職員が外国人にも分かるよう、粘り強く丁寧に説明していた。電車で外国人の幼子に席を譲った乗客の振る舞いはスマート。私たちはたぶん、心掛け次第で、ちゃんとやっていける。(泉)

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