県内初、走るJA窓口 中山間地域に支店と同機能店舗車 高齢者需要に対応

 中山間地域に住む高齢者らの利便性を高めようと、JAかながわ西湘(小田原市鴨宮)は、支店の窓口と同様の機能を備えた金融移動店舗車「きんじろう号」を導入した。県内の金融機関では初めてで、16日に運行を始める。災害発生時には臨時店舗としても活用するという。

  2トントラックをベースに改造した「きんじろう号」は、車内に窓口カウンターや待合スペースを設け、窓口端末機や自家発電機などを備えた。JA職員が直接、組合員に応対。貯金の入出金、公共料金や税金の納付、通帳記帳、一部を除く振り込みなど、支店窓口とほぼ同じ業務を取り扱う。

 「支店に足を運ぶのが困難」という中山間地域の高齢者や、過去の合併に伴う支店統廃合で「距離が遠くなった」という組合員からの声に対し、「身近なのがJAの良さ。こちらから出向こうと考えた」(JA西湘)という。

 「きんじろう号」の運行先は、JA西湘管内(県西部2市8町)の中で、松田町の寄地区や山北町の中川温泉近くなど、特に最寄りの支店から離れ、バス便も少ない17カ所を選んだ。2週間に1回程度巡回し、1カ所で約1時間半の営業を予定している。

 JA西湘の担当者は「きんじろう号が定期的に行くことで、人が集まっておしゃべりしたり、顔の見える関係をつくる場を提供できれば」。中山間地域における高齢者らの生活基盤の支援だけでなく、今回の取り組みが交流の場を生み出すことも期待している。

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