WRC:「自然な走り」でトップタイム。トヨタ、2台のヤリスが表彰台争いへ

 4月7日、WRC世界ラリー選手権第4戦ツール・ド・コルスのデイ2が行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTはオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が総合2番手、エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合4番手にポジションを上げた。一方、僚友のヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)はSS8でのクラッシュによりリタイアとなっている。
 
 コルシカ島北部のバスティアを中心に開催されているWRC第4戦。引き続き晴天となったこの日もおおむねドライコンディションながら、コースの一部には湿っている部分や、泥や砂利で汚れた箇所もところどころにある状況で競技が進められた。
 
 トヨタ・ヤリスWRCを駆る3名のドライバーは、前日尻上がりに良くなっていったマシンフィーリングを2日目にも持ち越し、午前最初のSS5から好位置につけていく。
 
 なかでも前日最後のSS4でトップタイムをマークしたラッピはSS8、SS10で全体ベストタイムを記録したほか、この日行われた6本のSSすべてでトップ3に入る安定した走りを披露。順位を総合5番手から4番手に上げて最終日を迎えることとなった。
 
 また、総合3番手と5.5秒差の総合4位でデイ2をスタートしたタナクもSS7、SS10でステージ優勝を飾るなど、持ち味のスピードを発揮。ライバルの離脱にも助けられ、SS10終了後には総合3番手のティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20 WRC)と0.1秒差の総合2位にポジションを上げている。
 
 一方、セットアップの変更によってデイ1の終盤から追い上げをみせていたラトバラは、SS8で痛恨のコースオフを喫してしまう。この際、クルマの右リヤが立木に衝突。ダメージがロールケージにまで及んだため、安全性の観点から競技続行不能と判断された。
 
「少しハードに攻めすぎたのかブレーキングが遅れ、クルマのリヤを木にヒットさせてしまった」とアクシデントを振り返ったラトバラ。

 苦戦を強いられた週末について「(チームメイトが速さをみせるなかで)なぜ自分だけが間違った方向に進んでしまい、速くなかったのかを学習したので、今後に活かしたいと思う」と語った。

ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)
オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)

 デイ2を終えて、トミ・マキネン代表は「オット(・タナク)とエサペッカ(・ラッピ)にとっては本当に素晴らしい1日だった。どちらも表彰台争いが可能な位置にいるので、明日は興味深い展開となるはずだ。特に全長55kmのステージでは何が起こっても不思議ではない」と期待を込める。

「ヤリ-マティ(・ラトバラ)は最終的に満足のいくセットアップが見つかり自信を取り戻していた。それだけにリタイアという結果は残念でならないね」

「このラリーはクルマに対して完全な自信を持つことが重要なんだ。もし少しでも自信がないと、コーナーの数が多いためすぐにタイムに表れてしまう。(今日も)クルマにほんの少しの調整を施した結果、各ドライバーはクルマに対する自信を深めた。今は非常に良い状態だと思う」

 表彰台獲得を狙うタナクは「3番手のヌービルとは0.1秒差、そして4番手のエサペッカとは10.4秒差だから、明日はきっと面白い1日になるだろう」とコメント。
 
「エサペッカは良いタイムを何度も刻んでいて、とても自信があるようにみえるよ」

 そんなラッピは「昨日は、より良いセットアップを見つけるために本当にハードに努力を続けていた」という。
 
「その結果、今日のクルマは非常に良いフィーリングで楽に運転することができ、苦労することなく良いタイムを出すことができた。ハードにプッシュしなくとも、ごく自然にタイムが出たんだよ」

「4番手という順位でも十分満足だけど、ひとつでも、ふたつでも順位が上がればそれも悪くないね」

 ツール・ド・コルス最終日のデイ3は8日(日)、島南西部に位置するアジャクシオ周辺に設定されたSS11~12、2本のSSで争われる。SS11は今ラリー最長の55.17kmの超ロングコース。その後、サービスを挟まずに最終パワーステージとなるSS12が行われる。2本のSSの合計距離は71.42km、リエゾンを含めた総走行距離は257.27kmだ。

オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)
エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)
オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)

 
 

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