【MLB】3試合連続アーチの打者・大谷を分析 データで見る、今後の課題とは?

3試合連続本塁打を放った大谷翔平【写真:Getty Images】

打者・大谷のここまでの成績は18打数7安打3本塁打7打点

 エンゼルス大谷翔平は、周囲の想像を上回る華々しいデビューを果たした。投手としてはクオリティースタート(QS、6回以上自責点3以下)で1勝、打者としても18打数7安打3本塁打7打点、打率.389。特に打者としては驚異的な数字を残している。これから打者・大谷へのマークは厳しくなると思われるが、データでそれを予測してみよう。以下は試合ごとの打撃成績だ。

〇3/29 アスレチックス戦
5打数1安打1三振
14球(ボール4球)

〇4/3 インディアンス戦
4打数3安打1本塁打3打点1三振
17球(ボール4球)

〇4/4 インディアンス戦
5打数2安打1本塁打2打点1三振
20球(ボール6球)

〇4/6 アスレチックス戦
4打数1安打1本塁打2打点1四球1三振
18球(ボール9球)

 当初、対戦した投手はストライクゾーンにボールを投げ込んできたが、4月6日のアスレチックス戦は18球中9球がボール。投手の警戒感が一気に高まったことがわかる。今後、大谷が打てる球は少なくなってくるはずだ。

 大谷が打った7本の安打の球種と投手を見てみよう。

〇3/29 アスレチックス戦
右前打(147キロ カッター/グレーブマン)

〇4/3 インディアンス戦
右本塁打(118キロ カーブ/トムリン)
右前打(136キロ カッター/トムリン)
中前打(152キロ 4シーム/マカリスター)

〇4/4 インディアンス戦
中本塁打(147キロ 4シーム/クルーバー)
中前打(151キロ 4シーム/アレン)

〇4/6 アスレチックス戦
中本塁打(151キロ 2シーム/ゴセット)

 7本のうち6本が速球系だった。新進気鋭の打者らしく、大谷は速い球に強い。また、ファーストストライクを打った安打が3本。好球必打ではあるが、各投手はこれまで以上に初球に気を付けるようになるだろう。

7回の空振りのうち、変化球が5球

 大谷は、ここまで4試合で69球の球を見ているが、空振りは7回。これを球種/投手別に見ると次のようになる。

〇3/29 アスレチックス戦
第5打席2-2から(152キロ 4シーム/ハッチャー)

〇4/3 インディアンス戦
第1打席1-1から(118キロ カーブ/トムリン)

〇4/4 インディアンス戦
第3打席1-1から(133キロ スライダー/ミラー)
第4打席、初球(148キロ 4シーム/アレン)

〇4/6 アスレチックス戦
第5打席、初球(134キロ ナックルカーブ/カシーヤ)
第5打席1-1から(133キロ ナックルカーブ/カシーヤ)
第5打席1-1から(133キロ ナックルカーブ/カシーヤ)

 7つの空振りのうち変化球系が5球。4/3インディアンス戦の空振りは、この後で同じトムリンのカーブを本塁打していることから球筋を見極めてアジャストしたと解釈できるが、様々な投手が多彩な変化球を投げるMLBでは、こうした変化球への対応が重要になってくる。

 対戦投手の右腕、左腕では差が見えるのだろうか。

○右投手 14打数7安打2本塁打7打点1四球4三振 打率.500
○左投手 4打数0安打

 左投手との対戦は少ないが、いずれも凡打に終わっている。これからの打者・大谷は、なかなか勝負してもらえなくなるだろう。投手はボール球をより多く投げ込んでくる。また、速球ではなく変化球を多投する。インコース攻めも増え、リリーフ左腕との対戦を余儀なくされることもあるだろう。

 焦ってボール球に手を出して、打撃の調子を崩していく打者は多い。打者・大谷の今後を占う指標は「四球」だ。安打、本塁打は増えなくても四球が増えていれば、対戦相手はストライクゾーンにボールを投げるようになる。まだ2球団としか対戦していないが、他球団もこの打撃成績をしっかり分析してくるだろう。

 NPB時代の大谷のBB/Kは.377(119四球316三振)、決して選球眼がいい打者とは言えなかった。しかし、MLBでは焦ることなくじっくりと投手の球を見極めることが求められる。今後の打席に注目したい。

(Full-Count編集部)

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