「地域市民の家」低迷する利用率改善へ/藤沢市 藤沢市

41番目の施設として整備された鵠沼橘市民の家

 藤沢市は4月から、「地域市民の家」の利用制限回数を原則2回から4回に緩和するなど、運営方法の見直しを進める方針だ。年間平均利用率が23%と低いことが課題になっており、利用率向上を目指す。

 地域市民の家は、住民が自由に語らい、学び、触れ合う交流の場として、1976年から小学校区に1施設以上を目標に整備が進められ、2007年には全小学校区に配置された。

 現在41施設あり、1施設の平均規模は約190平方メートル。基本的な設備は、100人程度が収容できる集会室に加え、和室、洋室、オープンスペース、給湯室、倉庫などがある。自治会や町内会が所有・管理している「自治会館」と異なり、市が所有・管理していることが特徴で、維持管理費用は年間6800万円(16年度)に上っている。

 利用率は、他に活動場所があることや周知不足、鍵の管理が面倒などの理由で、ここ10年の間では改善しているものの低迷が続いている状態。また、施設のほとんどが木造で、約30年が経過し老朽化が進んでいるため、今後の維持コスト増加も見込まれる。

 藤沢市は今回、利用制限を倍の4回に増やすとともに、改善策として新たに鍵の保管箱を作り、希望施設には設置する。これまで地域住民が担っていた鍵の管理という負担を減らし、利用者にとっても施設を借りる際、鍵を受け取りに行く手間がなくなることが利点になる。

 さらに、市が整備を進めている「地域の縁側」の場所として、地域市民の家を活用する方法や、「放課後児童クラブ」と共存した利用方法なども検討中で、さまざまな方法で利便性を高めたい考えだ。

担い手不足高齢化が課題

 地域市民の家は、各地域の住民8人程度で組織する運営委員会によって自主的に管理運営されている。その運営委員の高齢化が進んでおり、担い手不足も課題に上がっている。

 今年度は全施設で目途が立ったが、市が希望を募る段階では、10カ所の施設で運営委員不足となっていた。

 市は将来的に利便性の向上を図りながら、運用方法の再整備を進めて行く方針。機能を存続させながら公民館や市民センターなどと複合施設に再整備することや、自治会への譲渡などを検討している。

© 株式会社タウンニュース社