国の鉄鋼統計、経産省が一部見直し 一般統計、民間へ移管

位置付け低下、行政効率化で

 経済産業省は、鉄鋼関連の行政統計を一部見直す。国の統計のうち基幹統計以外の一般統計について、民間へ移管する。すでに特殊鋼需給月報を特殊鋼倶楽部に移管した。各種統計は鉄鋼行政を推進する際のベースデータとなるが、一般統計に関しては、その位置付けが低下していると判断。行政の効率化を推進する観点からも統計の見直しを進める。

 鉄鋼関連の国の統計では、基幹統計として、粗鋼や鋼材の生産・受入・消費・在庫などを網羅する鉄鋼生産動態統計がある。現在はこれに加え、鉄鋼需給動態統計、鉄鋼生産内訳月報などを一般統計として実施。この一般統計を民間へ移管する。

 第1弾として、3月から鉄鋼需給動態統計の中の特殊鋼需給月報を特殊鋼倶楽部に移管した。普通鋼を対象とする鉄鋼需給月報(品目別の生産・受入・払出・在庫)と鉄鋼生産内訳月報についても、6カ月程度かけて移管の方策を民間団体とともに検討する。

 一般統計は現在、実際の調査を日本鉄鋼連盟や特殊鋼倶楽部など民間団体に委託している。こうした民間団体には調査ノウハウがあるため、民間への移管による混乱は起きないとみている。

 一般統計は基幹統計と違い、企業が調査協力に応じなかった場合の罰則はない。それでもカバー率低下といった問題は顕在化していない。このため民間への移管によるカバー率低下といった問題は起きないとみている。

 鉄鋼需給動態統計などの一般統計は基幹統計に比べ、全般に調査内容が細かい。経産省の鉄鋼行政にとっては位置付けが低下しているものの、鉄鋼業界では依然としてニーズが高い。行政統計の効率化を進める観点と併せ、民間への移管が妥当と判断した。

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