「ユニバーサルジョイント」の中村自工、熱延ミル向け新製品開発 動力伝達能力3割アップ、ハイテンの効率圧延に有効

 製鉄プラントなどに使われる動力伝達部品「ユニバーサルジョイント」の国内大手メーカー、中村自工(本社・東京都中央区、社長・中村弘樹氏)は、熱間圧延ミル向けに剛性を高めたユニバーサルジョイントを開発した。剛性の向上により圧延モーターの動力を圧延ロールに伝える能力が従来比30%以上高まる。高張力鋼板(ハイテン)など高強度材の効率圧延に有効な利点などをアピールし、国内外の鉄鋼メーカーに採用を働きかける。

 ユニバーサルジョイントは圧延機のモーターの動力をワークロールに伝達する継手部品。中村自工は鉄鋼向け同部品の国内シェアが現在約4割。今回の新製品投入により同5割に拡大を目指す。

 新製品「Kシリーズ」は、同社従来型の「Sシリーズ」と異なり、スプリット(分割)型と呼ぶ高剛性の新構造を採用。これにより従来と同等の設置スペースのまま、より高い伝達能力を実現した。ハイテンなど高強度材の圧延効率を高めたい鉄鋼メーカーのニーズに対応。熱延鋼板ミルをはじめ、厚板、形鋼も含む熱間圧延ミル向けに受注生産する。これまですでに国内で2件受注した。

 新製品は高寿命も実現した。サイズによって異なるが、従来比1・7~2・7倍まで寿命延長が可能だ。メンテナンス周期の延長によりランニングコストを低減できる。

 今回の新製品開発では国内鉄鋼メーカーの協力を得て実際の熱間仕上げ圧延機に製品を組み込むフィールド試験を昨年まで4年間かけて実施し各種性能を確かめた。新製品はグループ会社の中村自工深川製作所(茨城県高萩市)で製造する。

 中村自工は年商170億円(17年度)。ユニバーサルジョイント事業は売上高約40億円で、このうち鉄鋼メーカー向けが約8割を占めている。

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