小、中学校のいいところ吸収 義務教育学校スタート! 佐世保、「黒島」と「浅子」

 長崎県佐世保市では本年度から、小学校と中学校の9年間を一つの学校として教育に当たる義務教育学校2校がスタートを切った。複式学級の解消など教育内容の充実が狙いで、県内では初めて。このうち黒島町の市立黒島小中学校(惣田正宏校長、16人)では9日、入学式に先立ち開校セレモニーを開き、住民や保護者らが学校の門出を祝った。
 「愛称名は『黒島はまゆう学園』です」。9日午前10時前。真新しい体育館のステージに立ったのは中学校にあたる「後期教育課程」の生徒。学年数を表した九つの波やハマユウをあしらった新しい校章の旗を誇らしげに発表した。
 義務教育学校は、中学進学時に学業や生活面で問題を抱える「中1ギャップ」などの解消を目指し、国が新しい学校種として2016年度に導入。小中学生が1~9年生として同じ校舎で学校生活を送り、一つの学校として学校運営に取り組む。佐世保市は地域の要望を受け、黒島小中学校と浅子小中学校(浅子町)の2校を新設した。
 「恵まれた環境を生かして子どもをしっかりと育てたい」と話すのは惣田校長。黒島小中学校では本年度、1・2年生と5・6年生が複式学級。義務教育学校化で中学の教員が小学生の授業に乗り入れしやすくなり、手厚い教育が可能になる。また部活動に4年生から参加できるようにして、習い事や塾通いが難しい島の子どもたちの放課後も充実させる。「高校がない黒島では15歳になれば島を出る。そのときの選択の幅を広げたい」とする。
 「後輩たちに憧れてもらえる先輩になりたい」。セレモニー後に開いた初めての入学式で、7年生の古里ののかさん(12)は抱負を述べた。鶴崎浩司育友会長は「小学校と中学校のいいところを吸収した取り組みをしてほしい」と期待を寄せた。

黒島小中学校の開校を祝う児童と生徒ら=佐世保市立黒島小中学校

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