渋滞対策へ国が実験開始:鎌倉市 鎌倉市

簡易裁判所前の道路表示板に測定機器を設置

 観光地における渋滞対策を目的とした全国初の社会実験が、鎌倉市内で始まった。専用の測定機器を設置して自動車の通行データを収集し、エリアプライシング(ロードプライシング)など施策の検討に活用する。また鎌倉市も2019年度に独自の社会実験の実施を目指しており、国と連携して準備を進めたい考えだ。

 観光地の渋滞が大きな課題となるなか、国土交通省は昨年、ICTやAIなど最新技術を活用した渋滞対策の先駆的な実施を目的とした「観光交通イノベーション地域」の公募を行った。

 その結果、鎌倉市は昨年9月、京都市とともにこの制度における「実験実施地域」に選ばれた。

 今回の社会実験では、同省が由比ガ浜2丁目の簡易裁判所前に「ETC2・0可搬型路側機」を設置。3月30日から運用を開始し、ETC2・0(料金の徴収だけでなく、渋滞回避支援や安全運転支援などのサービスが受けられる新型ETC)を活用し、搭載した自動車の数や位置、速度のほかどのようなルートを通行したかなどの情報を収集する。

 同省では「実験の実施期間は未定」としているが、今後は北鎌倉駅周辺にも同じ機器を設置する方向で準備を進めている。「エリアプライシング(地域内を走行する自動車に課金することで通行量の抑制を目指す施策)も含め、必要なデータを収集したい」とする。

 休日を中心に渋滞が発生し、市民生活に影響を与えている鎌倉では、以前からエリアプライシング(鎌倉市ではロードプライシングと呼称)の導入が検討されてきた。

 12年には市民や商工業者、専門家からなる「鎌倉市交通計画検討委員会」が発足。同委員会が15年3月に発表した中間とりまとめでは、必要性に改めて言及するとともに、制度の具体的イメージも提示した。

 市は鎌倉版ロードプライシングの実施に向け、19年度に独自の社会実験を実施する計画。市交通計画課では「国とも連携しながらどのような実験を行うかなどの検討を進めたい」としている。

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