キッツ、韓バルブメーカーを買収 工業用バタフライ弁を強化

 キッツ(社長・堀田康之氏)は9日、韓国のバルブメーカーであるシーパス・パイプラインを買収すると発表した。3月30日に100%株主である創業者と株式譲渡契約を締結しており、今月17日に全株譲受けを完了する予定。シーパス社は大口径を含む工業用バタフライバルブの専門メーカーで、キッツは14年からOEM調達を行っていた。資本関係はなかったが、工業用バタフライバルブ事業を強化する狙いで買収する。買収額は約37億円。

 キッツは現行中期経営計画(16~18年度)で石油化学分野を重点市場に掲げており、工業用バタフライバルブは同分野や発電所・石油精製・海水淡水化設備・船舶向けで使用される。キッツは日本、タイに工業用バタフライバルブの生産拠点を持つが、シーパス社は業界屈指の大口径製品や幅広い流体に対応できる製品ラインアップをそろえており、14年からOEM調達を行っている。今回の買収でキッツはアジア3拠点で生産体制を構築する。

 近年はプラントの大規模化に伴い、使用される配管の口径が大きくなる傾向にあり、大口径に適したバタフライバルブが求められている。バタフライバルブは他形状のバルブに比べ配管設置寸法を小さくできるため、多種のプラントで採用が拡大している。

 シーパス社は90年設立で韓国・釜山市に本社工場を持ち、資本金は約2億4500万円、従業員数は85人、16年12月期売上高は約30億8千万円。

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