【全文その2】JFAの田嶋幸三会長、質疑応答の文字起こし。会長、協会の責任は

9日(月)に行われたヴァイッド・ハリルホジッチ監督に関する日本サッカー協会の記者会見。

日本サッカー界に大きな衝撃が走ったが、それと同時に田嶋幸三会長の発言についてしっくり来ないファンも多くいた。

海外の日本代表最新情報、Jリーグ超ゴールはこちら

そこで今回は、この日の会見における質疑応答の全文を文字起こしする。かなりのボリュームになるため、三部に分けてお伝えしよう。

また、質問内容はできるだけ簡素化し、田嶋会長の発言についてはできる限り口語のまま記すこととする。

―法務との話し合いついて。ハリルホジッチ監督についてどういう内容で契約解除に関する相談をしたか、交代するスタッフは?

「まず法務ところで相談したのは、どういう形で解除の手続きが完結するのか、そして我々は契約を途中で切る時にどのような義務が発生するのか。

そういうことをしっかり分かってた上でなければ(契約解除は)できませんので、ウクライナ戦の後に時間を要したのはそうしたことをしっかりとやることでした。その上でお伝えしに行ったというところです。

法務上はその必要はなかったけれども、私は彼に誠意を持って伝えたいということで、それが効果があったかどうかは別としても、自分の気持ちを実行させてもらいました。

そして現在のところハリルホジッチ監督、そしてご本人に伝えているのは、コーチのジャッキーさん(ジャッキー・ボヌベー氏)、シリルさん(シリル・モワンヌ氏)、GKコーチのルガさん(エンヴェル・ルグシッチ氏)。この3名については契約を解除しました。

サッカーの場合、訴訟というのはFIFA等に言わなくてはいけないわけですけど、そういう(訴訟になる)可能性がゼロではないかもしれませんが、契約に基づき誠意を持って今後も対応していくつもりでいます」

―日本サッカーが目指すべき道、どんなサッカーを目指すのかが分かりにくくなっている。どう考えているか?

「もちろん基本的な戦術やベースは一緒だと思っていますが、監督によってやり方が変わるのが事実です。

実際にハリルホジッチ監督がやろうとした速い攻撃だとかそういうのもあったのも事実ですし、そういうことが必要なのも私たちも分かっているつもりです。

ただそれを選手たちが全うできるかどうかを踏まえながら、そしてまた今までワールドカップで通用したもの、しなかったもの、今のサッカーに合うもの、合わないものをしっかり分析して我々はチームを作らなければならないと思っています。

最近はやはり、やるサッカーもそれほど大きな差がなくなってきているのも事実です。

自分たちで自分たちでしっかり判断し、監督の指示だけではなく、自分たちがその場その場で一番良い選択ができる。そういう選手たちのプレーを期待したいと思います。

もちろんベースには監督のやりたいサッカーというのは出てくると思いますが、日本らしいサッカーが確立されてきている中で、それを私は志向してほしいと思います」

―日本らしいサッカーとは?

「しっかりボールを繋いでいくということです。

これは私の意見ですから、監督がどう思うかはまた(西野監督の就任会見が行われる)木曜日に是非聞いていただきたいと思います。

こういうサッカーだというのは、日本のサッカーだと言ってできるのではないと思っています。

世界のサッカーに常に私たちがアダプト(適応)していくことによって、それが自然に日本のサッカーになっていくんだと思っています」

―ワールドカップ2ヵ月前の解任ということで会長、協会としての責任について

「これをそのまま放置してやることで私の責任がなくなるのかというとそうではないと思っています。

私は日本サッカー協会の会長として、どんなことにおいても日本のサッカーの発展を第一に考えなくてはならないと思っています。

そういう意味では、今回2ヶ月前であったにもかかわらずこのような選択をしなければいけなかったというのは、やはり2ヵ月後のワールドカップでの成績、勝つ可能性を数パーセントでも上げていきたいということなんです。

もちろん監督が変わって急にもう決勝まで行くぞということはない、ドラスティックに変わることはない。それは私も一番分かっています。

ただ、むざむざとそれを見ているわけにはいかなかったということです。この状況を打破するために、監督を交代するというこの決断をしたということです。

ここまでになってしまっているということに対する責任はもちろんあるかもしれませんが、皆がハリルホジッチ監督をサポートし、良くしようということで皆が努力してきたのも事実です。もちろん選手たちもです。

やはりそこのところのバランスが崩れてしまったのが今の状況で、その状況状況で僕らはその決断を変えていかざるを得ない。

今までは、その決断をハリルホジッチ監督に続行していただくということでずっとサポートしてきたわけですが、ここに来てその状況が変わったということです」

―西野氏に監督就任を伝えたのはいつか?任期は?メンバー発表の日程が変更になるか?

「西野さんに打診したのは先週です。先週の前半です。名古屋で会いました。

そしてその後、金曜日の夜も会って話をしています。

西野さんはすごく慎重な方なので、ちゃんといろんなことを考えた上で結論を出してくれました。

ただ、最終的には僕はハリルホジッチさんに言った後と決めていましたので、最終的に決めてくれたのは土曜日のパリの後です。

メンバー発表の細かい点については、基本的な流れは大きく変わることはないと思いますが、それも木曜日に分かれば皆さんにはお伝えしたいと思いますが、基本的には今の流れを大きく変えるつもりはありません。

慎重な方なのではっきりとは仰らなかったです。最初に言った時には」

―この4年間で代表監督は3人目。技術委員長も変わっている、会長も変わっている。代表強化の継続性について

「会長が変わるというのは2年の任期ごとにその可能性があるわけで、これは自然のものだと思っています。

技術委員長についても変わってきているのは事実ですが、基本的な流れというのは僕は変えてはいけない部分があると思っています。

育成の部分や指導者養成の部分。そこの部分はしっかりと過去を踏襲し、今も日本のスタイルを築き上げていると思います。

もちろん良い方向に修正していく、改善していくというのは当然必要であって、そのことは今後も実行していきます。人が変わろうと変わらなかろうとそれは実行していかなければいけないと思っています。

ただ、頻繁に変わることが良いことかと言うと、必ずしもそうではないことの方が多いとは思います。これはその都度その事情があったりするわけですから、一概にそれが全てダメだとも言えないと思っています」

―ハリルホジッチ監督と協会との具体的な摩擦について

「協会との摩擦は僕はあったとは思っていません。

ハリルホジッチ監督は合宿が終わると会長室に来てくれてよく話をしてくれましたし。

ただ、私もサッカーをやっていた身ですから、サッカーに対する考えはありますけども、私がそれを聞くのではなく、サッカーについてはあくまで技術委員長であったりコーチ陣がその話をするものだと思っています。

ですから、基本的な摩擦があったわけではありません。

選手やスタッフとの摩擦は当然少なからずあることだと思っていますが、それについても把握しつつも、今回はその…何て言うんでしょう。あれ(一線)を越してしまったということでこの決断に至ったということです。

協会との摩擦はあったとは僕は思っていません」

―選手との信頼関係、コミュニケーションが原因ということだが、実際に選手たちから聞き取り調査などを行った上で判断したのか、その時選手からどんな言葉が出たのか?

「コミュニケーション、信頼関係がなくなるのというのは一つの象徴的なところであって、いくつか細かいところを挙げるというのはもちろん可能だと思います。

でもそのところが引き金になったのは間違いありません。

この件だけでなく、様々なことについてはスタッフから話は聞いています。

誰ということは申し上げませんが、直接選手から話を聞いたこともあります。でもそれを僕は鵜呑みにするわけでなく、しっかりとした全体のことを考えながら話を聞き、そしてそれを改善すべく動いてきました。

その結果、最終的なこういう結論を出さざるを得ない状況にマリ戦、ウクライナ戦のところでなったということです。

継続してずっとその作業はやってきました」

© 株式会社ファッションニュース通信社