大楠中 卒業生に修復呼び掛け 40年前制作「裸馬」の貼り絵 横須賀市

大楠中に体育館に飾られている「裸馬」の貼り絵

 大楠中学校の体育館に2頭の裸馬(はだかうま)が描かれた大きな貼り絵がある。「裸馬の風が吹いた」の合唱曲をモチーフに40年前の生徒らが手掛けた作品だが、近年破れや変色など劣化が目立ち始めており、これの修復を当時の卒業生が行うことになった。賛同者を集めて実行委員会を立ち上げる。現役生徒にも協力を呼び掛けて、学校と地域の連携を深めるきっかけにしていく考え。今秋の合唱祭でお披露目する計画を立てている。

 作品は昭和52年(1977)度に卒業した生徒を中心に制作。縦4m×横8mの大作が天井に近い位置で掲出されている。

 修復に向けた動きのきっかけを作ったのは同校の仲亀啓行校長だ。「作品は日常の風景に溶け込んでいるが、掲出の経緯や意図が分からず、以前からその存在を不思議に感じていた」。周囲に聞くと「裸馬」は、合唱が盛んだった頃に同校で頻繁に歌われていた合唱曲をイメージしたものであることがわかった。「難易度が高い曲で、歌いこなすための努力の証を作品に閉じ込めたのだろう」と仲亀校長は解釈。卒業生に傷んだ絵の修復してもらい、生徒と一緒に「裸馬」を大合唱するアイデアを思い付いた。

 当時、卒業制作に携わったひとりで市議会議員の長谷川昇氏はこの提案を受けると、懐かしい思い出がよみがえった。「当時、1カ月間を費やして作品を完成させ、卒業式にお披露目した。『裸馬』の合唱曲と絵に愛着を持っている人は大勢いるはず」。修復実行委員会の立ち上げをSNSで呼び掛けるとすぐに反応が返ってきた。

 長谷川氏によれば、作品は年月が経過しており、ベニア板の台座も含めて、大掛かりな修復作業が必要だという。費用に関しては卒業生のカンパなどを想定している。「当事者だけでなく、生徒と地域の人が一緒になって取り組めるプロジェクトになれば」と話しており、地域連携・地域教育の実践の場としていく方向だ。夏休み期間などを利用して、ワークショップ形式で実施していく。

 取り組みに関する問い合わせは「大楠中学校裸馬の風が吹いた実行委員会」【携帯電話】080・4383・1633(長谷川さん)

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